引きこもりから脱した盲目のベナン人、「マッサージ」「せっけんづくり」「ヤギ飼育」の3刀流で成功

家の中庭でせっけんづくりをするキンビジ・アルフォンスさん。ベナン南西部のザフィー村では土壁の家がほとんどのなか、アルフォンスさんの家はコンクリート製。4つの部屋をもつ家に6人家族で暮らす。障害を乗り越えられた鍵は「稼げるスキルを学んだから」と話す

自然素材のせっけんづくり

マッサージの仕事がないときに精を出すのがせっけんづくりだ。直径1.2メートル、深さ60センチメートルの大きな深鍋をヤギが歩き回る中庭に持ち出し、塩、米粉、オクラの粉、トリートメント効果のある黒い粉、ほかにも小袋4つほどを投入する。

アルフォンスさんのせっけんは自然素材を使うのが特徴だ。鍋に水を少しずつ加えながら、大きな木ベラでぐるぐるとかき混ぜる。トロみがつき滑らになると最後に香料を入れて完成。かかるのは20分ほどだ。

一般的なせっけんづくりに欠かせない苛性ソーダはNGだ。触れると皮膚がただれる劇物のため視力をもたないアルフォンスさんには危ないからだ。安全にせっけんを作るこの方法は、コトヌーに隣接するアボメカラビの障害者職業訓練センターで、アルフォンスさんが20代半ばで学んだという。

価格は、液体せっけんは1.5リットルの1本が600CFAフラン(約120円)。市場の販売価格より少し高めだがどれも人気。バイヤーが自宅まで買い付けにくるという。

せっけんから得られる収入は1カ月で8万~15万CFAフラン(1万6000~3万円)。「せっけんづくりを手伝ってくれる人がいれば、もっと売れるのに」とアルフォンスさんは残念がる。

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