家の中庭でせっけんづくりをするキンビジ・アルフォンスさん。ベナン南西部のザフィー村では土壁の家がほとんどのなか、アルフォンスさんの家はコンクリート製。4つの部屋をもつ家に6人家族で暮らす。障害を乗り越えられた鍵は「稼げるスキルを学んだから」と話す
6歳で視力を失った
今でこそ明るく元気なアルフォンスさんだが、長く苦しい時代もあったという。
アルフォンスさんが失明したのは小学1年生の終わりごろ。目の病気が原因だった。学校に通ったのはわずか1年。村に障がい児のクラスはなく、学校に行くのは諦めた。
次第に視界が薄れていくなかで、かき氷を売る仕事をして家計を助けた。だが完全に視力を失うと、家にいるしかなくなった。両親が亡くなってからは他人から食べ物を恵んでもらって空腹をしのぐこともあった。せっけんづくりへの一歩を踏み出すまでには10年あまりの引きこもり生活があったのだ。
ザフィー村でアルフォンスさんのことを知らない人はいない。だが「今でも村人からじゃま者扱いされることがある」とアルフォンスさんは嘆く。大半の健常者よりも多く稼ぐアルフォンスさんを妬む村人もいるという。
差別から逃れようと家に引きこもる障害者が少なくないなか、それを乗り越えたアルフォンスさん。自ら稼いだ200万CFAフラン(約40万円)で家を建て、家族と暮らせる今の暮らしに幸せの光を見いだした。