「友人を殺したミャンマー国軍を許さない」 理想と現実の狭間で苦しむバンコク在住のミャンマー難民

ミャンマーからタイ・バンコクに逃れてきたサムサムさん22歳。現在は、タイの大学の授業にオンラインで出席するが、家にこもりがちだ

孤独と恐怖にさいなまれる日々

「国軍を許さない」「私たちはきっと勝つ」と理想の実現に燃えるサムサムさん。だが厳しい現実に直面している。

2024年2月、ミャンマー国軍は徴兵制を導入すると発表した。それまでサムサムさんはよく友人と外出していたが、国軍に徴兵されることを恐れて家に引きこもるようになった。「何もすることがなくてビデオゲームを1日5~6時間するようになったんだ」

そして3月、サムサムさんは家族の勧めで1人でバンコクに逃れてきた。「CDMに参加していることがばれないように、空港に到着するまでにスマホの写真とメッセージデータを消した。空港ではスマホをランダムにチェックされるからね」

バンコクに逃れて5カ月経つが、孤独な日々は続く。学生ビザの取得のため、ブリラム県のウェッドウェスタン大学でタイ語の授業を受けているが、すべてオンライン。「対面で話すのはお店の人くらい」だと言う。孤独を紛らわすため、家族と毎晩電話している。「本当はすぐにでもミャンマーに帰りたい」 

サムサムさんを悩ませているのは孤独だけではない。タイはミャンマーと隣接しているため、身の危険と隣り合わせだという。「ミャンマー国軍に見つかって徴兵されるかもしれない。CDMに参加していることがばれてミャンマー国軍に拘束されるかもしれない」

そんなサムサムさんは、タイよりさらに遠くに逃げられるように、独学で毎日2時間英語を勉強している。「カフェを開きたいんだ。店内にたくさん飾りを付けておいしいコーヒーを出して、お客さんに幸せなひとときを過ごしてもらいたい」

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