バンコクの大学院で音楽教育を学ぶミャンマー人ピアニスト、故郷でピアノ教室を開きたい!

おしとやかに微笑むレイチェル・スーさん。「新しいことに挑戦するのが好き」と語るおしとやかに微笑むレイチェル・スーさん。「新しいことに挑戦するのが好き」と語る

クラスメートが助けてくれる

ピアノを教えることが天職のスーさん。収入の減少をはじめミャンマーで仕事がしにくくなったことに加えて、自身をもっとレベルアップさせたいと考えたスーさんは大学院への進学を決める。「音楽教室の経営の仕方やピアノの教え方、カリキュラムを深く学びたい」(スーさん)。留学先を探したところ、ミャンマーよりも音楽教育が進んだタイの大学院が最適だと感じた。

「韓国の大学院に通うことも検討した。だけど学費はバーツ換算で年間100万バーツ(約425万円)」。これほどまでの高額の学費は払えないので、7万5000バーツ(32万円)のシラパコーン大学大学院を選んだ。

タイへ留学する前にお別れ会で教え子たちから手紙をもらった。そこには「先生、大好き。先生ともっと学びたい」と書かれていた。その手紙は大事にタイへ持ってきたという。時々見返すと語るスーさん。「子どもたちを愛してる。とても嬉しかった」

この6月から、シラパコーン大学大学院で音楽教育を学び始めた。授業はすべてタイ語なので、タイ語がわからないスーさんは苦労の日々を送る。だがタイ人のクラスメートが率先して声を掛けてくれたり、大学院の先生が言うことを英語に翻訳してくれたりするなど助けてもらいながら大学院に通う。

「今はタイ語の勉強も頑張っている。寝ながらタイ語のオーディオテキストを聞く。1日最低10個の単語を覚えるようにしている」

博士号も取りたい

スーさんは教会の寮で暮らしている。1カ月の家賃は1000バーツ(約4200円)だ。

「ミャンマー料理が恋しい。ミャンマーにいる家族や子どもたちに会いたい。子どもたちが送ってくれる動画を見てやる気をもらってる」

修士号を取った後は博士課程に進みたいと話すスーさん。その後はタイの音楽教室で1~2年経験を積んで、ミャンマーに戻って音楽教室を開く計画だ。「軍事クーデターのせいで、勉強を続けられない子どもたちはたくさんいる。ピアノを彼らに教えて希望を与えたい。頑張れば希望は叶うという姿を子どもたちに見せたい」

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