14歳で学校を辞めたミャンマー人の少年、バンコクで「1年後の生活はわからない」

ミャンマー・ヤンゴンからやってきたシンタンアンさん

クリックでNUGをサポートする

シンタンアンさんには、軍事クーデター発生後から現在に至るまで日課にしていることがある。NUGに寄付するプログラム「Click2donate」(クリック・トゥ・ドネート)の一環で、ウェブサイトをクリックすることだ。ミャンマー国外に向けてNUGへの支援を呼びかける目的で始動した。

広告付きのウェブサイトをクリックすると、広告収入の一部がNUGに寄付される仕組みだ。それまでは「寄付したかったが、直接寄付するとSNSのアカウント停止に追い込まれるので方法が見つからなかった」と振り返る。ただ、「これは政治的な活動だから、バンコクにいる周囲のミャンマー人の中では1人にしか話していない」と警戒するのを忘れない。

立ち上がった直後に「1日10分アクセスしよう」と拡散され、シンタンアンさんは張り切ってクリックした。起床後1時間と就寝前1時間の1日合計2時間。半年間ウェブサイトにアクセスし続けた。「1日100以上のサイトにアクセスできたと思う」とあどけなく話す18歳。ミャンマー国内では国軍がClick2donateへのアクセスを禁止するため、VPN(仮想プライベートネットワーク)に接続した。VPNは無料だ。

現在は広告付きのユーチューブを1日30分クリックする。よく開くのは、民主派勢力が結成した国民防衛隊(PDF)への支持を表明するミャンマー出身歌手リンリン(Lynn Lynn)の動画だ。

1回のクリックでは微々たるお金にしかならない。しかし、軍事クーデター直後にはアクセスが急増し、1日約1000ドル(約14万5000円)の広告収入につながったという。当初1つ、2つだったウェブサイトは今では約20もある。時には偽サイトも出てくるため、偽物を調査するフェイスブックページ「Click Specialist」(クリック・スペシャリスト)も登場した。

フェイスブックページ「Click Specialist」でクリックすべきユーチューブの一覧が共有されている。「flowers」は広告表示のあるウェブサイトを意味する

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