14歳で学校を辞めたミャンマー人の少年、バンコクで「1年後の生活はわからない」

ミャンマー・ヤンゴンからやってきたシンタンアンさん

夢は「誰よりも先に故郷に帰ること」

2024年2月、国軍が徴兵制の導入を発表し、シンタンアンさんも招集リスト(スィ・ム・タン・サ・イェン=Sit Mhu Htann Sa Yinn)に載った。心配した父親が学生ビザや住居を手配し、バンコクに逃がした。

この7月から、語学学校で1日2時間、週3日オンラインでタイ語を学ぶ。「屋台でタイ人とコミュニケーションをとれるようになりたい」と話すが、今のところは指差しのジェスチャーで乗り切る。

学生ビザの期限は1年。18歳の少年にとって、1年後は想像のつかない遠い未来なのかもしれない。機会があればバンコクで就職するか、バンコクの高校か大学へ通う、と話すことが二転三転する。「ミャンマーの状況が落ち着いていたら帰国して高校に通いたい。でも自分の年齢が上がりすぎた。勉強させてもらえるかわからない」と不安気でもある。

8人で住んでいた故郷での生活から一転、今は人生で初めての一人暮らし。料理、洗濯、掃除となんでも自分でする。自由に動けて快適な一方、寂しさも感じる。タイには長く住みたくないという。「ミャンマーに帰国できるようになったら自分が誰よりも早く、一番初めに帰りたい。家族と一緒にいたいんだ」と18歳の本音が出た。

1 2 3