【ラオス無法地帯を行く③】中国化する小さな町、農民はカジノ開発で土地を奪われるも「面と向かって批判できない」

トンプンの目抜き通り。レストラン、カラオケ(キャバクラ)、マッサージ屋が軒を連ねる

中国のカジノ企業キングスローマンズグループが2008年から開発を進めるラオス北西部の「ゴールデントライアングル経済特区」。そのすぐ隣にある小さな町トンプンでは中国元が使われ、中国語が入り乱れる。経済特区の開発で大きく変わったトンプンにganas記者が入った。(第1回はこちら

国際空港もオープン

夕焼けに照らされたメコン川の川沿いを黒いバイクが爆音をあげながら駆け上がる。私はバイクタクシーでゴールデントライアングル経済特区から数キロメートルほどの距離にあるトンプンに向かっていた。

ラオスということで悪路を予想していたが、フエイサイからトンプンまでの50キロメートルの道はすべて舗装されていた。ガソリンスタンドが道中、次々に現れる。SVA、TTPといった聞いたことのないスタンドばかり。後で調べたら、すべて中国資本の会社だった。

それ以外にも採石場、採掘場、コンクリート工場などが道路沿いに並ぶ。水パイプが張り巡らされたハイテクな畑もあった。ここで採掘された石や砂、栽培された野菜はすべてゴールデントライアングル経済特区で消費されるのだろう。

ゴールデントライアングル経済特区は、カジノを運営するキングスローマンズグループが開発を手がけるのだが、つくったのはカジノだけではない。カジノを中心に、ホテルやコンドミニアムなどの宿泊施設、レストランや各種小売店、イベント用のスタジアムまである。

2023年には、経済特区の中心地から5キロメートルほど離れたところにボケオ国際空港が開港した。これは首都のビエンチャンや観光都市のルアンパバンの国際空港に続いて、ラオスで3番目に大きい。ゴールデントライアングル経済特区とはまさに中国資本による一大開発プロジェクトなのだ。

夕暮れ時のメコン川。フエイサイからトンプンまでの川沿いの道はアスファルトで舗装されていた

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