「コロンビア第2の都市メデジンで2年後、国内最大のアジア文化紹介イベントを開催する」。こう語るのはメデジンでイベントプランナーとして働くビクトル・アルシラさん(45歳)。「3歳の時に任天堂のテレビゲームにはまってからずっと、アジア特に日本が大好き。日本の文化をもっと多くのコロンビア人に知ってほしい」と熱く語る。
好きを仕事に
アルシラさんは23年前、地元のメデジンでイベント企画会社を立ち上げる。これまでに音楽、美容、工芸品、観光、漫画、ビデオゲームといったテーマでコロンビア各地で多くのイベントを手がけてきた。
アルシラさんが経営するイベント会社がメデジンの新市街ポブラドにあるショッピングモール「ビスカジャ」で8月30日~9月1日に開催したのがアジア文化紹介イベント「第一回ビスカジャ・サンライズ」だ。このイベントは、アルシラさんのコロンビア人の友人で、ラーメン屋「カラテ・ピッグ」の経営者に声をかけられたのがきっかけだった。
「メデジンの人たちはまだまだ日本文化に馴染みが薄い。サンライズをきっかけに、私が大好きな日本のことをもっと知ってほしい」
会場では寿司やラーメンなどの日本食、百人一首、俳句、アーケードゲーム、ヨガなどが体験できた。またステージでは日本をはじめインド、中国、韓国の武道や歌、ダンスを紹介。座禅(瞑想)体験の参加者からは「初めてだったけど、まさにストレスだらけの自分に必要なものだと思った。素晴らしかった」との感想をもらったという。
アルシラさんはもともと、子どものころから日本のテレビゲームが大好き。やり過ぎて右手のひらの腱が硬くなって指が動かし辛くなったため手術を受けたほどだ。今でも11歳の息子とよく対戦している。
ただ現在の関心はテレビゲームだけではない。「第二次世界大戦後、日本は過ちから謙虚に学び復興した。精神性が高くて尊敬している。日本や日本人を形成する規律性や礼儀正しさをもっと伝えていきたい」。アルシラさんの興味は広がっている。
失敗を糧にする
サンライズでは手応えを感じる一方で問題点も浮き彫りとなった。まずは立地の悪さによる集客数の低迷だ。また会場が狭かったこともあり、出店したブースの数も28にとどまった。会場は日曜日の昼前でも人がまばらだった。
「最終的な赤字もこれは想定内。今回は失敗だったかもしれないけれど、パイロット的な位置づけだったので問題ない。むしろ経験値をあげることができて良かった。次回以降に生かしたい」(アルシラさん)
もう少し広い会場での第2回サンライズは2025年2月に開くこともすでに決定済みだ。さらにその翌年には、メデジン中心部のコンベンションセンターで、よりパワーアップしたアジア文化紹介イベントを開催する計画。出展者数50~60、1日当たり来場者数1万2000人を目指す。
「ここまで大規模のアジア文化紹介イベントは今までコロンビアにはなかった。でも私にはこれまで培ってきた経験がある。有力な会場ももう押さえたし、必ず成功させるよ。協力を求めるために日本大使館などにも相談してみたい」。かつてのゲームオタクが今や堂々と前を向いて決意を語る。