演者と観客みんなで作り上げるクリスマス劇、演劇を通して人は変わる

2023年のサンタプロジェクトでサンタ役を担ったフリアン•ラミレスさん(右)

コロンビアで夢を叶えた「竜馬」

本業はシステムエンジニアで、2024年のサンタプロジェクトで助演出を担当するフリアン・ラミレスさん(36歳)によると、サンタプロジェクトのメンバーにとって、恵まれない自国の子どもたちが置かれた環境を知ることで自身も成長できるという。

ラミレスさんは2014年に初めてサンタプロジェクトに参加した。理由は「演じるのが好きだったし、楽しそうだったから」。だが今は「子どもたちのために」という思いに変わったという。

劇を見たり、プレゼントを受け取ったりして笑顔になる子どもたちを目の当たりにしてラミレスさんは「シングルマザーの家庭で育ったり、きちんとした教育を受けられないといった限られた環境に置かれた子どもたちにはぜひ未来を切り開いてほしい。努力すればそれは叶う」と語る。

ラミレスさん自身もこうした実体験がある。2019年に「夢見る力」をテーマとし坂本龍馬を演じたときだ。

「坂本竜馬は謙虚でありながら、日本のために偉大なことを成し遂げた。それは農民であろうと貧しい人であろうと、人生で偉大なことを成し遂げられることを意味する」。このメッセージを胸にラミレスさんは「今年(2024年)から仲間とともにビデオゲーム会社を立ち上げた。もともとゲームは好きだったが、まずは勉強して自分の技術を上げなくてはいけなかった」と語る。

今度は自分が演じる側に!

サンタプロジェクトはまた、観客にとっても成長の場となる。象徴的なできごとのひとつが、舞台を見た子どもが高校生になって舞台に立ったことだ。

メデジン日本クラブの代表で、サンタプロジェクトの発起人でもある羽田野香里さんは「(勇気や努力といった)サンタプロジェクトのメッセージを受け取って、今度は自分がメッセージを発する側になろう、と行動することはそう簡単ではない。高いハードルを越えて、発する側になったことにその子たちの大きな成長を感じる」と喜ぶ。

国内避難民が多く住むメデジンのアヒサル地区で上演することもある

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