文化への興味から日本語学習にステップアップ、ゴールはコロンビアに“小さな日本”をつくること

春のひなたの1階に併設された「KAWAII CREPES」の店舗(コロンビア・メデジン)

日本好きのコロンビア人が集う場所がコロンビア第2の都市メデジンにある。日本文化を体験できる拠点「春のひなた」だ。春のひなたでは日本の軽食を作って実食するイベントやマンガを読んで語り合う機会を提供し、日本に興味のある人を結びつける活動を行っている。春のひなたの代表で、日本史好きのニコラス・モレノさん(36歳)は「“小さな日本”をつくることで、日本により興味をもってもらい、(私たちが運営する日本語教室で)日本語を学ぶ生徒も増やしたい」と語る。

“入口”はイベント

小さな日本をつくる第一歩として位置付けるのが、毎週土曜日に開く無料または格安のイベントだ。内容は書道、百人一首と伝統的な文化の体験からコスプレや日本旅行の際に使えるフレーズ講座など多岐にわたる。

好評だったのは、8月10日に開催した「お団子ワークショップ」。日本人在住者が団子の作り方を説明し、参加者みんなでみたらし団子を作り、実食した。参加者のひとりは目を輝かせながら「とってもおいしかった」と語る。料金は5000ペソ(約175円)。15人が参加した。

モレノさんによると、15人のうち2人がお団子ワークショップをきっかけに日本にさらに興味をもち、日本語教室に申し込んだという。

5月18日には、世界でいま人気となっている柴犬と触れ合う無料イベントを開いた。集まったのは40人以上。「予想以上の反響に嬉しかった」とモレノさんは喜ぶ。

日本文化をもっと身近に

イベント以外にも日本を感じさせる活動がある。この6月から春のひなたの1階のスペースを貸し出し、マンガショップ、日本風のカフェ、原宿クレープの店の3つが順次オープンした。イベントとの相違点は営業時間で、日曜日を除き毎日営業している。

日本風のカフェの名前は「小春カフェ」。オーナーを務めるのは、春のひなたの日本語教師である古張千恵子さんだ。おにぎり、大福、玄米茶などの日本の食べ物や飲み物をはじめ、シフォンケーキやフォカッチャも販売する。

日系コロンビア人のムラカワ・メリッサさんが運営するクレープ屋「KAWAII CREPES」は春のひなたに2号店を構えた。クレープはもちろん、いちごミルクやタピオカミルクティー、たこ焼きを挟んだハンバーガーなどを売る。来店者数は1日50人ほど。客の半分は春のひなたの受講者以外だ。

もともとオンラインのみで活動していた日本のマンガを専門的に扱う書店「Doga Manga」もまた、6月にオープンした。インスタグラムのフォロワーは1万2000人と高い人気ぶりがわかる。

春のひなたの代表を務めるニコラス・モレノさん。大学時代に日本語を学んだことから日本文化に興味をもつ

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