コロンビア国内避難民のサンバトールさん。左派ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」に身代金を何度も要求されたことで故郷のネイバを22歳で離れる。ボゴタで3年間、学生生活を送ったのち、きょうだいのいるメデジンへと引っ越す
神が正義を果たす
サンバトールさんは息子の死をきっかけに今までよりもっと敬虔なカトリック教徒になった。それは政府や警察にいくらお願いしても捜査に協力してくれなかったことによる無力感からくるものだ。
「正義を法的に果たすための機関が警察だ。それが機能しないのなら、キリスト教の神が正義を果たして加害者を罰するだろう」(サンバトールさん)
サンバトールさんが聖書(詩編)の中で大切にする文言は91章に詰まっている。91章の14節には「彼は私(神)を慕うものだから彼を災いから逃れさせよう」という神の視点からの一文がある。神を信仰することこそが災いを逃れる方法であり、娘と妻を守ることにもつながるという。
それでも息子の死に納得できない時には「アシ・エス・ラ・ビダ(人生はそんなもの)」と繰り返す。このフレーズを自分に言い聞かすことで現状を受け入れようと努力している。
これからは、残った家族を大切にしたいと語るサンバトールさん。娘を大学に入れるため今日も聖書の思いを胸に縫製工場で働く。
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