ベナンの村在住で小学校中退の家具職人、都市からも注文が入る凄腕だった

20歳の家具職人リカルド・コベジェさん。18歳の時に路面に工房を立ち上げた。村にいる20人の大工の中で「一番」と評判だ

路面に簡易な工房を立ち上げて3年の20歳の家具職人がベナン南西部のクッフォ県ドボ市トタ村にいる。リカルド・コべジェさんだ。彼は、人口およそ4600人のトタ村だけでなく、ベナン最大の都市コトヌーからも注文を受けるほどの凄腕だ。

日本人お抱えの職人

コベジェさんが作るのはベッドやドア、ダイニングテーブル、いす、長いすなど。アカシアやニーム、チークの木材を使う。ベッドは3日で、ドアは2日で完成するという。アカシア製のベッドは1つ4万CFAフラン(約9800円)、ニーム製のベッドは1つ5万CFAフラン(約1万2000円)だ。

「商品は、タクシーの運転手に頼んで(129キロメートル離れた)コトヌーに運んでもらう。顧客のほとんどは、トタ村の古い知り合いを通じて紹介してもらった人たち」とコベジェさんは説明する。

商品を買うのはコトヌー在住者だけではない。トタの村人ももちろん顧客だ。工房の前を通った際に興味をもち、注文してくれることもあるという。

トタ村在住の日本人女性は「テーブル、いす、靴箱、天井はすべて彼に頼んで作ってもらった。仕事が早いし、仕上がりもきれい。彼の仕事ぶりは信頼している。村の中でもかなり評判が高い」とコベジェさんを絶賛する。

一番人気はベッド

コベジェさんが家具職人になる一歩を踏み出したのは14歳のときだ。親が教育費用を払えなくなったことから小学校を4年で中退。「早く稼ぎたかったし、モノづくりが好きだったから」ときっかけを話す。

14歳のときにトタ村にいる家具職人のもとで見習いを始めた。期間は4年。研修費として20万CFAフラン(約4万9000円)を師匠に払った。こういった見習い制度はベナンでは一般的だ。

コベジェさんは18歳のとき独り立ちした。その後3年間ずっと1人で作業をしている。材木の切断、組み立て、仕上げの塗装まですべて。「この仕事が好きだ」と彼は笑う。

材木はトタ村にある材木売り場で仕入れる。材木は1本1万5000CFAフラン(約3600円)だ。ベッドを1つ作るのにかかる材料費は3万〜4万CFAフラン(7300〜9700円)。ベッド1つの値段が4万〜5万CFAフラン(9800〜1万2000円)であることを考えると、ベッド1つ当たりのだいたいの粗利は1万CFAフラン(約2400円)。「多いときで1カ月に50人から注文を受けるよ」と彼は話す。

コベジェさんは他人の土地を借りて工房を開いている。土地代として1カ月5000CFAフラン(約1200円)を払う。それを差し引いても1人で暮らすには十分な金額を稼いでいるという。

コベジェさんが1人で作ったベッド。左がニーム製、右がアカシア製だ

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