ベナンの村のバイクタクシーの運転手は投資家だった!? 稼いだお金でタクシー運転手にステップアップ

愛車ボクサーにまたがるヌモビさん。粗悪な道を運転するが、驚くことにパンクはほとんどないとのこと

タクシードライバーは3倍の稼ぎ

トタの村人にとってタクシーを利用する主な目的は、トタ村と130キロメートル離れたベナン最大の都市コトヌーの往復だ。

タクシードライバーは乗客1人から往復5000CFAフラン(約1220円)をもらう。定員は6人。1回の運行で3万 CFAフラン(約7320円)の稼ぎとなる。

トタ村・コトヌー間のガソリン代は1万5600 CFAフラン(約3800円)ほどかかるため、利益として残るのは1万4400 CFAフラン(約3510円)となる計算だ。

仮に1カ月に20往復する場合、タクシードライバーの月収は28万8000CFAフラン(約7万円)。ゼミジャンドライバーの約3倍となる。

2.5ヘクタールの土地を所有

ヌモビさんは妻1人、4児(4~13歳)と一緒に暮らす。子どもたちは幼稚園、学校に通っている。「(学費を工面する意味でも)収入をさらに上げたい」とヌモビさんは話す。

ヌモビさんが買いたい中古車の価格は250万CFAフラン(約61万840円)。「貯金は180万CFAフラン(約43万9800円)ある」。足りない分は投資でまかなうという。

ゼミジャンのドライバーとして稼いだお金でヌモビさんはどんどん土地を買っていく。所有する土地の面積は2.5ヘクタール。トタ村とその周囲では1ヘクタールの土地の価格は約50万CFAフラン(約12万2000円)というから、ヌモビさんの不動産価値は125万CFAフラン(約30万5020円)にのぼる。

ベナンではヌモビさんだけでなく、ほかのドライバーもお金がたまったら土地を購入する。「これがベナン流の貯金の仕方」(トタ村在住焼き豚屋店主)。

「もともと持っていた農地に加えて、新たに買った土地でもヤシを栽培し、そのまま売ったり、ソダビ(ヤシを原料とするベナンの蒸留酒)を作ってそれを売ったりしている」とヌモビさん。地価が上がったら売って、車の購入資金に充てる考えだ。

家族の協力もある。ヌモビさんの妻はトタ村で小さな店を経営し、日用品やソダビを売る。

「ゼミジャンのドライバーとして働き始めてあと2年で20年。それまでに車を買いたい」とヌモビさんは嬉しそうに語る。

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