アブラヤシが原料のベナンの伝統的な酒「ソダビ」、オイルも作れてダブルインカム

レオン・エガさんと同じアブラヤシ畑でソダビを生産する農民。彼が手に持つのが「ソダビ」。無色透明で、ほのかに甘いかおりがする。ベナンでは空びんや空きペットボトルを持参して売ってもらう(ベナン南西部のクッフォ県ポゴドゥ村)

「アブラヤシ(パームヤシ)のメリットは、ソダビとパームオイルの2つを作れること」。こう話すのは、アブラヤシから作るベナンの伝統的な蒸留酒「ソダビ」の農家で、ベナン南西部のクッフォ県ポゴドゥ村在住のレオン・エガさん(35)だ。

ココヤシではなかった

「ソダビがあればハッピーだよ」。陽気なベナン人らはこう口をそろえる。ソダビは冠婚葬祭で飲まれる伝統的な酒だ。アルコール度数は約40度と高い。一口飲むと喉に染みる。

「ココナツ? 違うよ。アブラヤシから作るんだ」。エガさんはこう語る。

アブラヤシから作るアルコールはアフリカでいくつかある。ソダビと同じような蒸留酒だとガーナの「アペテシ」が有名。また、カメルーンの「マタンゴ」、コンゴ民主共和国の「ンガシ」はアブラヤシから採った樹液が自然に発酵しただけの酒だ。

ヤシの幹から樹液を採取

樹液はアブラヤシの幹から採取する。根を掘り、幹を倒す。倒した幹の根に近い部分に穴を開け、そこからゆっくりと樹液を下に落とす。これがソダビの原料となる。隣のトーゴやナイジェリアではアブラヤシの木を倒さずに幹に穴を開けて樹液を採るという。

ソダビに使うアブラヤシは樹齢8~25年のものが多い。平均は15年前後。大きなものからは約20リットルの樹液が採れるとのこと。乾季が最盛期だ。

採りたての樹液は甘い。すぐに自然に発酵し始め、さらに発酵が進むと酸っぱくなる。5日ほど発酵させた後、それを蒸留する。

ベナン式は蒸留もワイルド。ドラム缶に移したパームワイン(樹液が発酵したもの)を直火にかける。蒸気になったものが、ドラム缶から伸びるホースをつたって、水をためた小さなプール(土を掘って作った人工的な小さな池)を通っていく。その結果、蒸気が冷やされ、液体になる仕組みだ。こうしてできた蒸留酒をソダビと呼ぶ。

アブラヤシの木を倒して、樹液を採取しているところ。画面中央部の幹の下にある丸い容器(「カラバス」と呼ばれるヒョウタンみたいな植物)に樹液をためていく。3週間から1カ月ぐらいまでの期間、樹液は出るという。始めは1日4.5リットルほどのスピードで、その後徐々に少なくなっていく

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