アブラヤシが原料のベナンの伝統的な酒「ソダビ」、オイルも作れてダブルインカム

レオン・エガさんと同じアブラヤシ畑でソダビを生産する農民。彼が手に持つのが「ソダビ」。無色透明で、ほのかに甘いかおりがする。ベナンでは空びんや空きペットボトルを持参して売ってもらう(ベナン南西部のクッフォ県ポゴドゥ村)

ヤシはオーナー制で所有

ソダビの生産体制もユニークだ。

ポゴドゥ村で取材したアブラヤシ畑の面積は2ヘクタール。地主が1人いるが、1本1本のアブラヤシには別の所有者3人もいる(地主が所有する木もある)。地主はアブラヤシを別の人に1本当たり1500CFAフラン(約368円)で売るという。

ソダビの蒸留所はこのアブラヤシ畑に1カ所ある。地主が3万5000CFAフラン(約8600円)をかけて作ったという。地主はもちろん、他のアブラヤシの所有者も無料で使えるのが特徴だ。

蒸留所を4人で交代で利用

エガさんは、実は別の土地に1ヘクタールの農地をもつ。そこではアブラヤシとキャッサバを育てる。自分の農地で採取したパームワインも、共有の蒸留所を使ってソダビを作れる。

「蒸留所をシェアするやり方はベナンでは普通。自分で蒸留所を作らないでいいから、とても助かる。パームワイン20リットル単位で順番に蒸留していくんだ」(エガさん)

この蒸留所は4人が順番に使う。エガさんは「1人当たりの収入は1カ月で一番多い時は102万CFAフラン(約25万730円)」と語る。だが雨季はソダビの生産量が落ちるため収入は当てにできないという。

エガさんが懸念するのは、ソダビの樹液が年々取れなくなってきていることだ。ただ今のところ需要と供給のバランスからソダビの価格は上がっている。ポゴドゥ村では1リットル1000CFAフラン(約245円)。かつては同700CFAフラン(約172円)だったという。

ポゴドゥ村の蒸留所。一番奥に、パームワインが入ったドラム缶があり、火にかけられている。手前に見えるのが冷却用の簡易な水槽。水蒸気となったパームワインはここを通り、冷やされ、最終的にアルコール度数の高い液体が蒸留される

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