アブラヤシが原料のベナンの伝統的な酒「ソダビ」、オイルも作れてダブルインカム

レオン・エガさんと同じアブラヤシ畑でソダビを生産する農民。彼が手に持つのが「ソダビ」。無色透明で、ほのかに甘いかおりがする。ベナンでは空びんや空きペットボトルを持参して売ってもらう(ベナン南西部のクッフォ県ポゴドゥ村)

パームオイルも採れる

アブラヤシからはソダビだけではなく、もう一つ大きな収入源となる「パームオイル」(不純物を濾す前は「レッドオイル」と呼ばれる)も作れる。実を絞って抽出した赤い油だ。ベナンでは調理用油として一般的に使う。

アブラヤシは年間を通して実をつけ、1ヘクタール当たりの実の収量は最大3.8トン。大豆や菜種の8~10倍に相当するという。レッドオイルの単価は1リットル700CFAフラン(約170円)前後。菜種油は1リットル当たり1200CFAフラン(約290円)、大豆油は1700CFAフラン(約410円)。レッドオイルの単価は菜種油、大豆油より下がるが、収量が多いため、実質4~5倍程度の売り上げとなる。

パームオイルはまた、パンやポテトチップス、食器・洗たく・掃除用の洗剤、シャンプー、石けんなどに使われる。ちなみに、果房の実の部分から採れる「パームオイル」と、種の部分を原料とする「パーム核油」の2種類の油がある。2つの油は品質が異なっており、パームオイルは調理用、パーム核油は加工食品用としての用途が多い。

それ以外にも、アブラヤシの葉をほうきや草ぶきに使うなど、ベナンではアブラヤシを余すことなく利用している。

安定した収入を得たい

エガさんは妻、双子の子どもとの4人家族だ。ソダビを作るほか、養鶏に加えて、調味料や野菜などを自宅前で売る。

「ソダビ作りは季節によって売り上げが大きく変わる。収入を安定させたいので、今後はソダビの閑散期にタクシードライバーで稼ぎたい」。エガさんにとってダブルインカムが「トリプルインカム」になる日も近そうだ。

安価なため、ベナンの庶民に重宝されるレッドオイル(これを精製するとパームオイルになる)。写真は温度が低いため固まってしまっている。レッドオイルは実の色(カロテン)が残っているため赤い

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