小さな村から都市に進出?! ベナンの国民酒ソダビの高級化を目指す男性がいた

ソダビを作るマティドゥさん(右から2人目)。丸い容器(「カラバス」と呼ばれるヒョウタンのような植物)を持って、アブラヤシの木から採取したばかりの樹液(パームワイン)を訪問した日本人に見せてくれた。ソダビの「生産に最適な時期」は乾季だという。理由は、雨に悩まされずに作業ができ、また暑さで樹液の流れが速くなるからだ。対照的に「販売に最適な時期」は雨季だという。気候が涼しいためアルコール消費量が増えるためだ

必要資金は240万円

ソダビ作りには主に3つの工程がある。樹液の採取、発酵、蒸留だ。ソダビ作りに必要な作業は基本的に1人でするという。

ソダビ作りはまずアブラヤシの木を切り倒すことから始まる。倒した木から2週間かけて樹液をとる。1週間発酵させ、酸っぱくなった樹液を1時間以上かけて蒸留させれば完成だ。

マティドゥさんは「自分が作ったソダビを富裕層・外国人向けに売り出したい。きれいなボトルに入れて、ラベルをつけるんだ」と語る。

富裕層・外国人向けのソダビ作りを始めるためには1000万CFAフラン(約240万円)の資金が必要、とマティドゥさん。ボトルとラベルを作るほか、ソダビを大量生産するとなればスタッフを雇う必要も出てくる。「最終的にはいろいろな場所にソダビの店を開きたい」とマティドゥさんは目を輝かせる。

教師の仕事は「稼ぐ」ため

マティドゥさんの仕事は実はソダビ作りだけではない。「家畜の飼育」と「小学校の教師」もする。三刀流だ。

マティドゥさんが飼うのはニワトリとヤギ。育てた後の売値はニワトリ1羽3000CFAフラン(約740円)、ヤギ1頭2万~2万5000CFAフラン(約4900~6100円)だ。

ニワトリは1カ月で35羽売れるという。売り上げは1カ月10万5000CFAフラン(約2万6000円)だ。

ヤギは1年で5~6頭を売る。年間の売り上げは約12万5000~15万CFAフラン(約3万~3万7000円)。「より稼ぐためにヤギが大きくなるまで待つ。だから売ることは珍しいよ」とマティドゥさん。もちろんニワトリもヤギも家族で食べることもある。

マティドゥさんが「家畜」の仕事で得る月収は多い時で約13万CFAフラン(約3万2000円)にのぼる。

これ以外に教師の仕事を始めて5年。いまは小学3年生のクラスを受け持つ。週5日、1日6時間働く。月収は10万CFAフラン(約2万4000円)。「教師の仕事は稼ぐために始めたから、もっと良い仕事を見つけたらやめるよ」とあっさりしている。

マティドゥさんには2人の妻と2人の子どもがいる。今の収入で家族5人を養うのに十分な金額を稼げているという。月収は一番多い時期で161万4000CFAフラン(約40万円)というから驚きだ。

「もし富裕層・外国人向けのソダビを作ることに成功したら、全部やめる。ソダビ作り一本で稼いでいきたい」とマティドゥさんは意気込む。

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