左がブードゥー教のシェフのエケ・アドトビ氏。歓迎のためにブードゥーの薬を振る舞う。エケ氏が育てた薬草を煎じたもの
お礼は金銭・酒・動物
エケ氏によると、患者のひとりは「病院に長年通院していて本当に困っていた。なのにシェフにかかったらすぐに治った」と話したという。「みんなが満足してくれている」とエケ氏。
診察は基本無料だ。ただ完治したお礼として、金銭や酒、動物をシェフに渡すことも多い。
エケ氏によると、相場は、頭痛や腹痛で8万CFAフラン(約1万9350円)とベナンの伝統的なヤシ酒「ソダビ」。悪夢は10万CFAフラン(約2万4190円)とヤギ1頭、ニワトリ2羽、ソダビ2リットル。難易度が一番高いてんかんは50万CFAフラン(約12万980円)とヤギ1頭、ニワトリ2羽、ソダビ5リットル。
ちなみにヤギ、ニワトリ、ソダビは生贄や供え物として、儀式やお祈りに使うことが多い。
ブードゥーは伝統
ブードゥー教はベナンの国教だ。だがエケ氏は「ブードゥーは宗教というより伝統。ブードゥーを信じる人は生まれながらにブードゥー。なりたいと思ってなるものではない」と話す。
ブードゥーは、ベナンで人口の約25%を占める最大民族フォン族が話す言葉で「ブドゥン」という。これは「精霊」という意味だ。具体的なアクションに言い換えれば、大地の恵みを集め、薬を処方することであり、精霊に祈ることだ。
西洋医学には限界があるのも事実だ。治せない病気を抱えた人、長年の治療に苦しむ人にとって神頼み的に訪れる場所がシェフ。ブードゥー医学の価値は「(心身ともに)最後の救い」にありそうだ。
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