【ラオス無法地帯を行く⑥】カジノで働くミャンマー人、休日なくても「母国よりマシ」

夜のカポックスターホテル。派手な外観だが、周りはまだ工事中

中国のカジノ企業キングスローマンズグループが開発するラオス北部のゴールデントライアングル経済特区。ここの経済を下支えするのがラオスやミャンマー出身の貧しい人たちだ。休日がないなど厳しい労働条件にもかかわらず、ゴールデントライアングル経済特区に多くの人が押し寄せる。(第1回はこちら

支配する側・される側

「あんた、ほんとに使えないね!」

女性の店主が従業員に声を荒らげる。店主は明らかに中国人だ。従業員はラオス人かミャンマー人の女性。下を向いたまま、ずっと黙っていた。

ゴールデントライアングル経済特区に入った日の夜、私はタピオカティーの店で羽を伸ばしていた。そんな時に始まったのが、この店主の叱責だった。

何が理由なのかはわからない。だが見ていて気持ちの良いものではない。私はタピオカティーを飲み干すとすぐに店を後にした。

ゴールデントライアングル経済特区にある店のほとんどがこのタピオカティー店と同じ構図だ。オーナーが中国人で、雇われているのがラオス人かミャンマー人。

これはゴールデントライアングル経済特区の力関係をそのまま表している。キングスローマンズグループという巨大な中国資本が、近隣諸国の安い労働力をかき集め開発を進める。ビルの建設や店の切り盛りなど、ここの経済を支えているのは紛れもなくラオスやミャンマーの人たちだ。

賃金はラオスやミャンマーより良いのだろう。ただ理不尽なことも多いはず。共産主義を掲げる中国がお金の力で東南アジアを支配する。マルクスが生きていたら、いったいどう思うのだろうか。

中華ハンバーガー「ジャーモー」を作るミャンマーの女性。ゴールデントライアングルの店や工事現場を支えるのはミャンマーやラオスの貧しい人たちだ

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