【ラオス無法地帯を行く⑦】路上に整列する風俗嬢、ここは中国人のための赤線地帯だった

ピンク色に照らされた置屋の店内。入り口は大きなガラス扉になっており、外からも女性を品定めできる

中国のエンターテイメント企業キングスローマンズグループが開発するラオス北西部のゴールデントライアングル経済特区。ここは中国人をターゲットにした一大風俗地帯だ。中国では規制された性サービスや日本人風俗嬢を求めて、中国人が毎晩ここに押しかける。(第1回はこちら

表通りに風俗嬢が並ぶ

夜の10時過ぎ、KTV(日本でいうキャバクラ)から帰ってきた私は、キングズローマンカジノの北側にある置屋街を徘徊した。表通りの両側にずらりと立ち並ぶ置屋。そこに男たちがひっきりなしにやって来ては女の子を品定めしていく。

東南アジアの置屋はホテルやマンションの中にある。ゴールデントライアングル経済特区も基本は同じだが、他の地域と異なるのはそのあからさま具合だ。

置屋の道路側の壁はすべてガラス。外から風俗嬢たちが見えるようになっている。その上にはピンクのネオンが眩しい「会所」と書かれた看板。

ラオスでは売春行為は違法だ。なので首都のビエンチャンなどだと置屋はこっそり営業している。だがゴールデントライアングル経済特区は文字通り特別なのだろう。風俗嬢も客もコソコソした様子は一切ない。

置屋通りを歩いていると、「カワイイコ イルヨ」とポン引きが怪しげな日本語で声をかけてきた。よくあることだが、ゴールデントライアングル経済特区はここからが違った。

ポン引きが店内に向かって合図をすると、風俗嬢たちが路上に出てきて私の前に整列したのだ。

多くの観光客が行き交う道のど真ん中で、私は十数人の風俗嬢の視線を一斉に浴びた。ケニアのスラムやミャンマーの紛争地などこれまで危険な場所も取材してきたが、この時ばかりは逃げ出したかった。

その時、ノーナンバーの黒いスポーツタイプの車が私を押しのけるようにして、風俗嬢の列の前に停車した。4人の男たちがスモークのかかったパワーウインドウを下げて、女の子たちを物色し始めた。彼らは中国語で一言二言、ポン引きと話した後、走り去っていった。

気に入った子がいれば、車に乗せてホテルに持ち帰るつもりだったのだろう。まさしく「ドライブスルー置屋」。

この光景を見る限り、風俗はゴールデントライアングル経済特区の主要産業のひとつのようだ。カジノもあるが、昼に見た限り規模も人気もいまひとつ。夜の置屋街こそがゴールデントライアングル経済特区の真の姿なのだろう。

夜のゴールデントライアングル経済特区のメインロード。置き屋が道の両側に並び、ネオンが光る

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