【ラオス無法地帯を行く⑦】路上に整列する風俗嬢、ここは中国人のための赤線地帯だった

ピンク色に照らされた置屋の店内。入り口は大きなガラス扉になっており、外からも女性を品定めできる

海を渡る日本人女性

風俗産業が栄えるゴールデントライアングル経済特区。ここは実は日本人風俗嬢の出稼ぎ場所にもなっている。

ここで働くのは理にかなっている。日本円は現在、歴史的な円安の真っただ中。ケチな日本人から安い円で収入を得るよりも、羽振りが良い中国人から中国元を稼いだほうが圧倒的にコスパがいい。

もうひとつの理由は、いまだに根強い日本人ブランドだ。その背景には日本で独自に発展したAV産業がある。蒼井そらといったレジェンドAV女優が中国のSNS「ウェイボー」(Xに相当するアプリ)で2000万人のフォロワーをもっていたというのは有名な話だ。

中国男性に長い間、夢を与えてきた日本人AV嬢の功績か、日本人女性を求める中国人は後を絶たないという。

日本人女性が働く置屋のひとつが、カジノからほど近い「皇家国际会所」。国際色豊かな女性をそろえていることで有名らしく、日本人女性はここの一番の目玉だという。

日本人が本当に働いているのかどうか気になった私は皇家国际会所の中に入り、待合室で風俗嬢を待った。現れたのは10人ほど。ラオス人、ベトナム人、中国人、そして一番端に日本人女性がいた。

風俗嬢の値段はラオス人、ベトナム人、中国人という順に高くなっていき、最高額だったのが日本人。5300元(約10万6000円)。これは日本の高級ソープの比ではない。冷やかしで来たとはいえ、値段を聞いて私はたじろいだ。

するとすぐ後に来た中国人客が日本人嬢を指名し、階段を上がっていった。

10万円なんて端金と言わんばかりの即断即決。“AV大国・日本”の底力を感じるとともに、中国人の羽振りの良さをまざまざと見せつけられた。

風俗嬢にインタビュー

ゴールデントライアングル経済特区の性産業が発達しているのはわかった。だがこれだけで記事を書いたのではただの風俗動向になってしまう。ここで働く女性たちの話を聞いてみたい。

だが彼女たちは今、仕事の真っ最中。お金にもならない取材を受けてくれるとは考えづらい。どうしたものか。

そこで考えたのが朝の取材だ。彼女たちの就業時間は夜から次の日の朝にかけて。仕事が終わる朝だったら時間があるはず。

こう思った私は近くの置屋に入り、明日の朝に取材したい、と数人の女性に依頼した。すると彼女たちは嫌な顔をすることなく、承諾してくれた。

その時、時間はすでに深夜の1時を回っていた。私はホテルに戻って眠ることにした。ホテルに着くと、ラオス人であろう女の子たちがホテルのロビーで化粧をしていた。なぜ昼間の時点でほぼ満室だったのか、この時理由がわかった。(続く

ゴールデントライアングル経済特区内を走るナンバープレートのない車。違法なにおいが漂う

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