肌トラブルに「アレッポの石鹸」! 四半世紀にわたってシリアと日本の懸け橋になった専門輸入会社があった

せっけん工場で並ぶ太田さん(前列右)とファンサ社の従業員。後ろに見えるのはアレッポの石鹸

シリアのせっけんが、肌のトラブルに悩む日本人に好評だ。同国第2の都市アレッポで作ったせっけんだけを輸入する会社「アレッポの石鹸」(東京・福生)の共同代表を務める太田昌興さんは「“危ないアラブ”のせっけんでも、みんな肌にやさしくて良いと喜んで買ってくれる」と語る。2011年に始まったシリア内戦、米国からの経済制裁、2023年の大地震を乗り越え、20年以上にわたってアレッポから日本の消費者にせっけんを届けてきた。

れじゃないとダメ

アレッポの石鹼(商品名でもある)は、同社が創業した1994年以来、オーガニック製品を好む、または肌のトラブルに悩む人の間で支持されてきた。卸先の小売店は累計2000以上だ。消費者からは「何を使ってもダメだったのに、肌のトラブル治った」「化学物質過敏症の家族がいるが、これなら安心して使える」などの声が聞かれるという。

「私自身も大好きな商品。こんなに楽しい仕事はない」と笑顔で語る太田さん。アレッポの石鹸に2000年に入社し、2014年に創業者から共同代表の立場を引き継いだ。以来、アレッポの石鹸一筋の姿勢を貫く。

2011年にシリア内戦が勃発してからも、アレッポの生産者と日本の消費者の双方のために輸入を続けてきた。輸入元のアデル・ファンサ社は、日本に販売先が確保されていることで自信をもってビジネスを継続できた。また「アレッポの石鹸じゃないとダメ」という日本の消費者も継続して商品を手に入れられたことを喜んだ。

2023年2月にトルコ・シリア地震が発生したときも、アレッポの石鹸はシリアと日本の懸け橋になった。愛好者の多くがアレッポの石鹸に寄付をし、総額100万円以上が集まった。

集まった寄付金を太田さんはシリア帰国研修員同窓会(JAAS)を通してシリアに届けた。4月には30万円分の食料を配布。アレッポでは電気が1日2時間しか通らないこともあったため、冷蔵庫がなくても保存が利く小麦粉や豆類を選んだ。8月には身体障がい者のために71基の移動補助器具を買い、12月には身体障がい者向けの紙おむつ455袋を261人に配った。

アレッポの石鹸。色が異なるが同じ商品。昔ながらの手作りで、色や形が同じものはひとつもない

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