2025年に注目したい、「またトラ」から考える世界の移民問題

パナマとコロンビアの間に横たわる密林地帯「ダリエン」を命懸けで越えるベネズエラ難民ら。彼らの最終目的地は米国だ(写真はベネズエラの「ラジオ・フェ・イ・アレグリア・ノーティシアス」からパナマとコロンビアの間に横たわる密林地帯「ダリエン」を命懸けで越えるベネズエラ難民ら。彼らの最終目的地は米国だ(写真はベネズエラの「ラジオ・フェ・イ・アレグリア・ノーティシアス」から

1月20日にトランプ氏が米国の大統領に就任します。ganasが注目したいポイントのひとつが移民対策です。

2024年の大統領選でも、「移民問題」は大きな争点になりました。トランプ次期大統領が密かに計画していたとされるのが、カリブ海に浮かぶ国バハマへ、米国にいる不法移民を送り込むこと。これについては日経新聞も24年12月6日、「トランプ氏、第三国に不法移民受け入れ打診 バハマ拒否」との見出しで報じました。

なかなか驚きのニュースです。大統領就任式の前に、米国を悩ます不法移民について考えてみましょう。

そもそもバハマは人口わずか40万人、面積は福島県とほぼ同じ。とても小さな国です。場所は、米国のマイアミから300キロメートルも離れていないため、送る側からすれば好都合。ですが受け入れ側のバハマからすれば、すぐにパンクして社会問題になるのは目に見えています。

1100万人の不法移民がいる国

ところで皆さん、米国にどれぐらいの不法移民が住んでいるかご存知ですか。

参考までに言うと、日本にいる不法残留者の数は24年7月時点で7万7935人です。米国の人口は3億3000万人で日本の2.7倍ですから、米国の不法移民の数は21万人ぐらい?

いや、違います。2022年のデータでは1100万人。規模が段違いなのです。日本の人口の1割弱、といえばイメージしやすいでしょうか。

内訳を国籍別にみるとメキシコ人が405万人と4割近く。これだけでも横浜市の人口以上。しかもこれは「不法」の移民だけの数です。

こうした状況を知ってしまうと、トランプ氏が、メキシコとの間に「国境の壁」を建設したくなる気持ちもわからなくはありません。ただ境界線は3145キロメートル。この距離は、東京とフィリピン・マニラの2990キロを凌ぎます。すべてに壁を作るのは現実的ではないです。

不法移民の数でメキシコに続くのがエルサルバドル75万人、インド72万人、グアテマラ67万人、ホンジュラス52万人です。経済が崩壊し、近年急増するベネズエラ人は27万人。

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