2025年に注目したい、「またトラ」から考える世界の移民問題

パナマとコロンビアの間に横たわる密林地帯「ダリエン」を命懸けで越えるベネズエラ難民ら。彼らの最終目的地は米国だ(写真はベネズエラの「ラジオ・フェ・イ・アレグリア・ノーティシアス」からパナマとコロンビアの間に横たわる密林地帯「ダリエン」を命懸けで越えるベネズエラ難民ら。彼らの最終目的地は米国だ(写真はベネズエラの「ラジオ・フェ・イ・アレグリア・ノーティシアス」から

2割が移民のドイツで何が起きているか

次にドイツの話をします。先進的なイメージもあるドイツはどうなのでしょう。

ドイツは1950年代から、「ガストアルバイター」と呼ばれる移民労働者を1000万人以上受け入れてきました。冷戦が終わった後は東欧諸国や旧ソ連から、2015年の難民危機でも100万人以上の難民が流入してきました。

いまや人口の19%弱が移民。受け入れは限界といえる状況です。

問題のひとつが犯罪の多発です。人口比でみても移民の犯罪率は高いとのこと。23年1月には、刑務所から出てきたばかりのパレスチナ人男性が、電車の中で10代の若者2人を刺殺した事件が起き、ドイツ社会に衝撃を与えました。

こうした事件を受けて、緑の党、ドイツ社会民主党(SPD)といった左派政党の政治家も、アフガニスタンやシリアへ移民を戻す案に賛成するようになったといわれます。

これ以外にも「食」の問題があります。ドイツで近年増加するイスラム教徒の移民に配慮して、学校の食堂メニューから豚肉を外すケースが増えているというのです。豚肉料理はドイツの食文化なのに。

こうした動きは、ドイツのように極端ではないですが、日本でも出始めています。24年11月18日付の日経新聞によると、茨城県の小学校や東京北区の保育園では「ハラル給食」を出したことも。世界の食文化を知るきっかけに、という教育上の目的があるとのことですが、ドイツのように行き過ぎると、日本人の子どもがインドカレーを毎日食べて育つみたいになってしまうかもしれません。

移民問題、掘り下げていくとかなり深いです。ちなみに移民の受け入れで成功例とされるのはカナダとオーストラリア。長くなったので、これについてはまたの機会に。

ganasはいま、南米のコロンビアタイ・チェンマイ西アフリカのベナンで「市民ジャーナリスト」になって、難民や国内避難民、村人などをインタビューし、記事を書き、それを発信するプログラム『Global Media Camp』の参加者を募集中です。

またオンラインプログラム『途上国ニュースの深読みゼミ』の受講者も募集しています。締め切りは1月6日。

皆さん、2025年もganasと一緒に途上国をウォッチしていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

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