オルター・トレード・ジャパン(東京・新宿)は、イスラエルの占領下にあるパレスチナ自治区のオリーブの生産状況についてオンラインイベントを開催した。パレスチナのヨルダン川西岸地区では、イスラエル軍とイスラエル人入植者がオリーブの木を伐採し続けているという。このイベントに登壇した、オルター・トレード・ジャパンが扱うオリーブオイルの出荷元アルリーフ社のサリーム・アブガザレ代表は「オリーブの木の伐採はパレスチナの農民への攻撃に匹敵する」と訴えた。
自分のオリーブ畑に自由に行けない
「オリーブの起源はパレスチナにある」(サリームさん)。パレスチナでは紀元前4000年ごろにはオリーブが栽培されていたという。パレスチナのオリーブオイルの生産量をみると、果実数の多い表年は約3万3000トン、少ない裏年は7000〜1万トン。オリーブ産業は国内総生産(GDP)の約14%を占め、パレスチナの約10万世帯に収入を与えている。
だがイスラエル政府は、入植地の周りに最大8メートルの分離壁を建設。この結果、パレスチナ人農家は壁の向こう側のオリーブ畑への立ち入りが制限された。イスラム組織のハマスが2023年10月7日にイスラエルを越境攻撃したことで軍事検問所も増加。パレスチナ自治政府の通信社WAFAによると、8万ドゥナム(8000ヘクタール)のオリーブ畑にパレスチナ人農家は入れなくなり、2024年の収穫量の15%を失うとの予測も出ている。
オリーブ畑に入れるのは収穫期だけだ。オリーブの木は本来、1年に5回は剪定や病気のチェックなどの手入れをする必要がある。しかし2023年以降、収穫期の限られた時間しか出入りできない。検問所を通ってオリーブ畑に向かうために、イスラエル軍が発行する通行許可証を朝から待つ農家もいる。加えて、剪定や収穫用の道具の持ち込みが禁止であるため生産性も落ちたという。