学校しか楽しい場所がないパレスチナの子どもたち、イスラエル人入植者から暴力・嫌がらせ

パレスチナ自治区の学校で理科の実験をする子どもたち

国際協力NGOパレスチナ子どものキャンペーンは1月14日、パレスチナ自治区での教育状況や炊き出しについてオンライン報告会を開いた。ヨルダン川西岸地区のヘブロン市H2地区では、パレスチナ人の子どもたちは家や通学路、学校など場所を問わず、イスラエル人の入植者から暴力や嫌がらせを受けている。同団体のスタッフである中村哲也さんは「(子どもたちにとって)学校しか楽しい場所がない」と話した。

通学路で催涙スプレー浴びる  

子どもが希望をもって成長することを促すパレスチナ子どものキャンペーンは2018年から、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸とガザの小学校で授業の質を上げる取り組みを開始。教師を対象に理科の実験のやり方を教える研修を実施したほか、理科室を直したり、機材を提供したり、教材を開発したりしてきた。

ただパレスチナ人の子どもたちに嫌がらせをするイスラエル人は少なくないという。ヘブロン市H2地区の住民から「イスラエル人から嫌がらせを受け、とてもひどい状況の学校がある」と聞いた中村さんは2024年12月、被害を受けた女子小中学校を訪問した。

「学校があるヘブロン市のH2区にはイスラエル人の入植者が多く暮らす。H2区の道路を車で通れるのは入植者のみ。パレスチナ人は歩きだ」と中村さんは話す。 

女子小中学校の校長によると、ヨルダン川西岸で暮らすパレスチナ人の子どもたちは通学する際、イスラエル軍の兵士から身体検査を受ける。「催涙スプレーをかけられて目をおさえる子どもや、銃を向けられた子どもを庇う女性のようすが学校の掲示板に写真として残されていた」(中村さん)

心の問題を常に抱えることもあって、パレスチナ人の子どもたちは暗い色で絵を描いたり、睡眠不足になったりしている。学習意欲も下がり、学力は低下。「通学の途中で危険に遭うので、子どもに勉強を諦めさせ、結婚相手を見つけようとする親もいる」と中村さんは語る。

学校から自宅に帰っても安全は保証されるわけではない。入植者と同じ建物で生活するパレスチナ人の中には、入植者から汚物やヘビを部屋の中に投げ込まれるケースもある。

「学校を病気で休む子どもはゼロ。学校しか楽しい場所はない」と中村さんは言う。

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