コンゴ民東部で紛争拡大、現地で活動するテラ・ルネッサンスが緊急支援でクラウドファンディング

コンゴ民主共和国の難民。東部の2州にはすでに460万人が逃れた。紛争拡大で新たに50万人が家を追われたといわれる(写真提供:テラ・ルネッサンス)

コンゴ民主共和国東部での紛争拡大を受けて国際協力NGOのテラ・ルネッサンスは2月21日、オンラインで緊急報告会を開催した。同団体の小川真吾理事は「アフリカでは紛争が起きたとき、銃撃戦で直接死亡しなくとも、その影響で衣食住が満たせず亡くなる人が多い。今こそ緊急人道支援が必要」と訴えた。同国東部では現在、反政府武装勢力「3月23日運動」(M23)が支配地域を拡大している。

マラリア死の1割はコンゴ民

テラ・ルネッサンスは2006年からコンゴ民主共和国東部の南キブ州のカレヘ地区で活動してきた。医薬品の提供や橋の建設といった生活支援や、養蜂ビジネスのサポートといった自立支援だ。

だがこの1月からの紛争拡大を受け、こうした活動はストップ。現地スタッフも事務所のあった南キブ州の州都ブカブから同州南部のウビラに避難した。

小川さんは「M23が今後いつ、ウビラに侵攻してくるかわからない。もし政府軍や他の武装勢力と衝突したら大きな被害が出る」と危惧する。

そうした中、テラ・ルネッサンスはウビラの病院への緊急支援を決定。支援するのはコメや豆などの食料、せっけんなどの生活物資、消毒液や破傷風の予防薬といった医薬品、携帯電話のプリペイドカードなど。現地のニーズに合わせて対応する。そのためのクラウドファンディングも立ち上げた。

テラ・ルネッサンスは完全撤退せず、支援を続ける方針だ。その理由は、この地域の住民が脆弱な環境に置かれているからだ。コンゴ民主共和国の東部では以前から紛争が続いており、北キブ州、南キブ州だけで約460万人の国内避難民がいるとされる。水や食料、医薬品などは恒常的に足りず、交通のアクセスも悪い。そこに追い打ちをかけるかたちでM23の侵攻が始まった。

小川さんはこう話す。

「マラリアで命を落とす人の数は全世界で年間およそ50万人。そのうち約4万5000人はコンゴ民主共和国の人たちだ。紛争下では薬が届かなかったり医療にアクセスできず、マラリアのような“防げるはずの病気”で命を落とすケースが増える。今こそ人道支援が必要だ」

テラ・ルネッサンスのスタッフが搬送した患者。南キブ州南部のウビラに現地スタッフが避難した後も、病院などで必要な物資を送り届ける(写真提供:テラ・ルネッサンス)

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