水道も井戸もタンクもないベナンの村の小学校、給食作りは300リットルの水くみから

ポゴドゥー小学校で給食を作る女性。小さなプラスチック容器にコメを詰め、その上にトマトを煮詰めたスープをかける

「水のタンク? そんなものを買うお金はない」。こう語るのは、ベナン南西部のポゴドゥー村にある唯一の小学校で校長を務めるカクポ・ベノイットさん(42)だ。ポゴドゥー小学校には水道も、井戸も、貯水タンクもない。水がないなかで児童のために給食を作るのは村の女性だが、過酷な労働だという。

水をめぐってけんか

ポゴドゥー小学校の全児童は234人。教師は6人だ。児童と教師は各自、毎日1.5リットルの水を学校に持参し、その水で1日を過ごす。飲むだけでなく、食事の前やトイレの後の手洗いなどさまざまな場面で使う。

ポゴドゥー村の集落から学校までは歩いておよそ30分。教科書に加え、ペットボトルに入れた重たい水を抱えて歩くのはとりわけ小学1年生や2年生にとって残酷だ。始業前に疲れてしまう。

熱帯のベナン。1.5リットルの水だけで1日を過ごすのは至難の業だ。水を使い切ったら、児童同士で分け合うこともあれば、水をめぐってけんかが起きることもある」(校長)。

また手洗いできなければ、これが原因で下痢になったり、嘔吐する子どもも。体調不良が長引けば学校を休み、その結果、授業についていけなくなるケースも少なくないという。

ポゴドゥー小学校の教室の中。薄暗く、蒸し暑い。筆者が入ると児童たちは起立して出迎えてくれた

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