水道も井戸もタンクもないベナンの村の小学校、給食作りは300リットルの水くみから

ポゴドゥー小学校で給食を作る女性。小さなプラスチック容器にコメを詰め、その上にトマトを煮詰めたスープをかける

水タンクは校長の月収の3倍

大変なのは児童だけではない。この小学校では給食を作る女性が3人いる。ポゴドゥー村の住民だ。

彼女らは、学校から、村の中心部に建つコンクリート製の貯水タンクに毎日30分かけて歩いて水をくみに行く。巨大なタライに水を入れ、それを頭にのせて帰ってくる。3人で3往復し、合計300リットルを運ぶ。この水で料理から皿洗いまでをこなす。

給食の費用は1回当たり25CFA(セーファー)フラン(約5円)だ。この金額を払わない児童は食べられない。コメと油はベナン政府が支給するが、このほかの食材は児童の保護者から集めたお金で調達する。給食のメニューはコメかパット(とうもろこしの粉を練ってお餅状にしたもの)、それに野菜スープなどだ。日によって変わる。

給食を食べられる児童は半分のみ。残りの半分は約5円の給食費が払えず、朝から夕方までを水だけで過ごす。「お腹が空いて集中力がもたない児童もいる」と校長は言う。

より過酷なのは乾季だ。ポゴドゥー村全体が水不足に陥り、水を持って来られない児童も出てくる。校長は「お金があったら貯水タンクを買って学校に置きたい。だけど貯水タンクは50万CFAフラン(13万円)と私の月収の3倍もする。高くて買えない」と説明する。

ポゴドゥー小学校のカクポ・ベノイット校長(右)。6年生のクラスを担当する。ひとりも留年させたことがないのが自慢。左は筆者。校長室で撮影

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