
ベナン南西部のドボ県ポゴドゥー村で農業を営むトボ・フエさん(88)とベジヌ・シルさん(70)の姉弟。2人は、子どもには村から出て稼いでほしい、と近代的な生活を活用したいと口をそろえる。一方で、新しく入ってくる外国製品や村の伝統的な生活が壊れていくことには不安も覚えている。
子どもには稼いでほしいが‥‥
都市化が近年急速に進むベナン。シルさんは「子どもたちには、最大都市コトヌーのようなところに出て稼いでもらい、仕送りで村に残る私たちを支えてくれるほうが良い。ここに残るのは良くないことだ」と豊かな都市での収入を当てにしたい思いを吐露する。
だが家業である農業や村の伝統的な価値観を守っていかなければならないとも2人は考える。シルさんは「コトヌーへ勉強しに行った兄弟もいたが、若いころは親の農作業を手伝ったり、親が高齢になれば世話をしたりしなければいけなかった」と振り返る。現在も、シルさんの18人の子どものうち5人は村に残って農作業に加わっている。
また、シルさんの18人の子どものうち4人はブードゥー教ではなくキリスト教を信仰するなど、村にも伝統的な価値観の変化が迫る。
「ボゴドゥー村では誰もが親を敬い、ブードゥー教を敬って伝統を守っている。私の子どもたちもみんな、村でブードゥー教の祭りがあれば戻ってくる。でもブードゥー教を捨てる人が増えたり、鼻にピアスを開ける若い女性が増えたりして伝統が壊されていくのは不安だ」(シルさん)
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