結婚してケニアに移住した河野理恵さん、「自信を届ける」ためにアフリカ布製品を販売

河野理恵さん(左)とRAHA KENYAのケニア人の職人

「アパレル経験も知識もない。英語もしゃべれない。海外に移住する願望も起業願望もまったくなかった」。そう語るのは、東アフリカのケニア・ナイロビを拠点にアフリカ布のファッション・小物ブランド「RAHA KENYA」を立ち上げた河野理恵さんだ。日本の女性が自信と個性をもつきっかけとなるような商品を販売し始めて約2年。今後はケニアで貧困などに苦しむ人への支援もしていきたいと語る。

 1カ月の売り上げは数百万円!

RAHA KENYAのラインアップはワンピース、パソコンケース、バッグなど。売れ筋トップ3は上から順に、ホワイトサイザルバッグ、パソコンケース、ピアスなどのアクセサリーだ。サイザルバッグは、インナーバッグにアフリカ布を使用。ピアスは、カラフルなアフリカ布の飾りが耳元で揺れ動く。

ワンピースは最も高額で約2万2000円。パスポートケース、ピアス、サイザルバッグのXSサイズであれば3000円台だ。河野さんは「RAHA KENYAでは商品ひとつひとつ思いを込めて妥協せずに作っている。その結果この価格帯になっているが、制作過程の写真や商品への思いをツイッターで公開しているため、お客さんはそこにも魅力を感じてくれる」と言う。

商品に使う生地は、河野さん自身がナイロビにあるアフリカ布の店を回って選んだものだ。「個性を表現したいので、なるべくパキッとした色を選ぶ。色のバランスもかなり意識しているため、がっつり色鮮やかなものと少し暗めの色の布を組み合わせる」(河野さん)

柄にもこだわる。「アクセサリーなど、布をちょっとしか使わないものは小さめの柄の方が色のバランスがよく出てかわいい。洋服の場合は大胆に布が使えるため、大きな柄を選ぶ」と河野さんは話す。

河野さんが買い付けた布でRAHA KENYAの商品を作るのは、自身がスカウトしたナイロビの服職人・小物職人だ。職人は、ケニアで自分のブランドをもつ人、ブランドはもたずにオーダーメイド品だけを作る人などさまざま。河野さんは「彼らがRAHA KENYAを通して日本基準の高い技術力と資金力をつけ、自分の夢につなげてほしい」と語る。

商品の販売先は日本だ。自前のオンラインショップと、年に数回開くポップアップイベントで売る。「ファンも徐々に増えてきた」(河野さん)

ブランド立ち上げから半年後の2019年6月、河野さんは初めてのポップアップイベントを東京・渋谷で開催した。1日(5時間)で訪れた客の数はおよそ100人。2020年8月8、9日に東京・中目黒で開いた3回目のイベントでは2日間でおよそ300人が訪れたという。

次のポップアップイベントは大阪・本町で9月26日、27日に開催する予定だ。RAHA KENYAが大阪に出店するのは初めて。

売り上げも右肩上がりだ。「最初は毎月20万~30万円で良いと思っていた。だがだんだんとお客さんが増えていき、それだけ多くの方が明るくなる、一歩踏み出すきっかけになるんだ、ということがわかった。そこでより多くの方に商品を届けたいと思い取り組んだ結果、毎月の売り上げは数百万円になった」(河野さん)。河野さんはいまや、アフリカを舞台に活躍する日本人女性起業家のひとりだ。

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