南部アフリカのザンビアで8月12日に大統領選挙が行われ、最大野党・国家開発統一党(UPND)のハカインデ・ヒチレマ党首(59)が現職のエドガー・ルング大統領(64)に約100万票の差をつけ圧勝した。ヒチレマ氏が訴えたのは、雇用の創出と汚職の撲滅。若者から多くの支持を得た。
真夜中にクラクションでお祝い
8月16日、午前2時35分。選挙管理委員会はヒチレマ氏が大統領選で勝利したと発表した。156すべての選挙区の開票結果が出たあとの得票数は、ヒチレマ氏285万2348票、ルング大統領187万780票だった。投票率は72.41%と、1991年に複数政党制選挙に移行してから最も高い数字だった。
選挙結果の発表が夜中だったにもかかわらず、首都ルサカではUPND支持者が大勢、街に繰り出して喜びに沸いた。車はクラクションを鳴らし、道に溢れた支持者らは、ヒチレマ氏をプリントしたチテンゲ(アフリカ布)を振りながら「Forward(前へ)!」などと雄叫びをあげ、思い思いにダンスした。
ヒチレマ氏の出身地で、牧畜が盛んな南部州モンゼでは翌日、10頭近い牛が、UPNDのチテンゲをはためかせながら自転車で走る支持者と一緒に街を走り、勝利を祝福。フェイスブックでもその様子はシェアされた。
ヒチレマ氏の大統領選への出馬は2006年以来、今回が実は6回目。前回の2016年ではヒチレマ氏はわずか10万票の差で、ルング大統領に敗れた。5年越しでリベンジした形だ。
ヒチレマ氏は、経営学修士(MBA)をもつ実業家。牛飼いから、金融、不動産、畜産、医療、観光などビジネスを広げていき、大成功を収めた。政界に入る前は、4大会計事務所のひとつの前身クーパーズ・アンド・ライブランド・ザンビアやグラントソントン・ザンビアの最高経営責任者(CEO)も務めた。
ヒチレマ氏は、自身の成功体験を引き合いに出し、「ザンビアはアフリカ第2位の銅産出国なのに、失業率が高い。ザンビアの経済を良くするにはビジネスマンが必要だ」と有権者に訴えてきた。