非営利団体「地球サミット2012Japan」は2011年6月26日、都内の日本財団ビルで「アースダイアローグ東京」を主催した。このイベントは、ブラジル・リオデジャネイロで12年に開催される国連環境開発会議(地球サミット)「リオ+20」に向け、「3.11」(東日本大震災)を踏まえてライフスタイルの変革の重要性を市民セクターから発信することが狙い。プレゼンターとして、アミタホールディングスの竹林征雄取締役と国学院大学の古沢広祐教授が出席した。来場者は環境分野をはじめ約80人。
「ライフスタイルを変えるのは今(東日本大震災)がチャンス」。こう話すのは竹林取締役だ。欧州では1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に、環境への関心が急速に高まった。これに付随して、オーガニック製品やフェアトレードの認知度も上昇した。
竹林取締役は「日本人も今回、原発の怖さを知った。知ったからこそ行動する機会が広がる。これまでは原発をはじめとする技術的な発展に頼ってきた。しかしモノやお金で幸せを計るのではなく、人間が営んできた文化、風習など多様な価値観を再認識することが大切だ」と述べた。
世界中にはまだ、飢餓やエネルギー紛争、人口爆発など深刻な問題が山積みだ。資源が有限のなか、経済成長に限界があるのは周知の事実。しかしグローバル経済の枠組みは変わらない。先進国の多消費構造が原因となって途上国の人々の生活がゆがみ、さらなる貧困や資源争奪戦を生む。改めて、限りある地球資源の使い方をめぐって再検討する必要性に迫られている。
古沢教授は「マーケティングの考え方では、消費者の1%以上が変わると新たな可能性が生まれる。3~5%に上がるとかなりのインパクトだ。問題意識をもった消費者を1%でも増やすことが大切。そのために何ができるのか」と強調する。
こうしたムーブメントを盛り上げていくには市民が主体となることが不可欠で、発信源としてソーシャルメディアの影響力は無視できない。竹林取締役は「21世紀は新しい世紀。ジャスミン革命や、中東での政治の流れも市民が生み出した。何もできないと考えるのではなく、行動を起こせば変えられる時代になった」と指摘した。
地球サミット2012Japanは10年7月に発足し、国家公務員や社会企業家、学生など総勢80人がプロボノとして運営に携わっている。世界銀行との共催で勉強会(毎週金曜日)を開くほか、大学や企業のCSR部門、国際協力NGO、地域のNPOとの関連イベントも企画中だ。ボランティアスタッフも継続して募集している。(佐藤詩織)