南スーダン北部のユニティ州レール郡の村々を武装グループが襲撃したことを受け、日本国際ボランティアセンター(JVC)は、同郡中心部の避難民居住区に逃れた人たちに、簡易な家の屋根として使えるプラスチックシートを配る。避難民の数は推定数万人。同国ではかねて、キール大統領とマシャール副大統領が対立しており、武装グループの背後には大統領派がいるとの見方が強い。
緊急支援物資としてJVCが配るプラスチックシートの大きさは縦5メートル、横6メートル。7月下旬に合計500枚のシートを1世帯に1枚ずつ配布する予定だ。JVCの今井高樹代表は「(数万人規模の避難民に対して)JVCができることは限られているかもしれない。ただこのシートを配布すれば500世帯を救うことができる」と語る。
JVCによると、木の枝などで作った骨組みにこのシートを被せれば屋根として代用できる。草や布で周囲を囲めば、簡易的な仮設住宅になるという。
支援の対象となるのは、武装グループの襲撃から逃れてきた避難民だ。なかでも優先するのは、地べたでの暮らしを強いられている人たち、母子だけの世帯、親からはぐれてしまった子どもたちだ。
シートは南スーダンの首都ジュバで調達し、ナイル川をレール郡の近くまで船で北上。最後は車を使って運ぶ。南スーダンの北部では雨季が7月から本格化する。道路が浸水して通行止めとなる恐れがあるため、JVCはその前にシートを配り終えたい考えだ。
今井さんは「ユニティ州ではすでに、州都のベンティウで洪水の被害が甚大だ」と懸念する。 また安全上の理由から南スーダンに日本人がほとんど入れないことを踏まえ「南スーダンの情報は日本に伝わりにくい。現地でどんな人道危機が起きているのか知ってほしい」と話す。
JVCは現在、「南スーダン緊急支援」としてホームページで募金を呼びかけている。