5年に1度のケニア大統領選の投票日(8月9日)まで3週間を切った。地元メディアによると、現職の副大統領であるウィリアム・ルト氏(55歳)と元首相で政治家一族出身のライラ・オディンガ氏(77歳)の一騎打ちだ。
支持率の差はわずか3ポイント
アフリカをカバーする調査会社トレンズ・アンド・インサイツ・アフリカ (TIFA)の世論調査によると、オディンガ氏の支持率が42%へ大きくアップ。39%のルト氏を抜き、3ポイントの差をつけた。
今回の大統領選が接戦となっている要因のひとつは、両氏ともに、ケニアの人口の約20%を占める最大民族であるキクユ人ではないからだ。ルト氏は、人口の約13%を占めるカレンジン人。オディンガ氏は、ケニア西部のニャンザ地域の出身で、ケニア人口の約10%を占めるルオ人だ。
ルト氏は1997年に国会議員に当選して以来2013年まで、内務相や農務相、高等教育相を務めた経歴をもつ。この10年間は副大統領としてケニヤッタ政権を支えてきた。今回の選挙では自らの貧しい生い立ちや努力で出世したことに触れ、庶民らしさをアピール。また若者に雇用機会をつくると約束し、若者からの支持も絶大だ。
対するオディンガ氏は、現大統領の父であるジョモ・ケニヤッタ初代大統領とともにケニアを独立に導いたオギンガ・オディンガ氏を父にもつエリート政治家。モイ独裁政権下の1982年にはクーデターを企てたとして捕まり、6年間投獄された過去をもつ。息子のオディンガ氏が掲げる公約は「汚職を撲滅すること」だ。
今回の大統領選がややこしいのは、ケニヤッタ現大統領(キクユ人)がオディンガ氏を支持していること。正副大統領コンビとして10年(2期)一緒に仕事してきたルト氏と仲たがいしたためといわれる。
ちなみにケニアでは過去に一度、キクユ人でない大統領が誕生したことがある。ジョモ・ケニヤッタ初代大統領が1978年に病死したことで、当時副大統領だったダニエル・モイ氏が繰り上がったときだ。モイ氏はカレンジン人。2002年まで24年にわたって続く独裁政権を敷いた。