東京・四ツ谷に本部を置く国際協力NGOアフリカ平和再建委員会(ARC)は11月2日、同団体が2002年から運営する「ルワンダ子ども支援基金」の説明会をオンラインで開いた。同基金はこれまで、およそ200人のルワンダの貧しい子どもが小学校に通えるよう学費や学用品を提供してきた。ARCの小峯茂嗣事務局長は「8000円で子ども1人が1年間学校に通える。さらなる支援を」と呼びかけた。
教育格差が暴力を生んだ
ARCが支援するのは、キリスト教系の地元のNGOファイブ・ホーリー ・ピラーズ(FHPO)が首都キガリで運営する小学校兼保育園ネイチャーナースリー&プライマリースクールに通う子ども。この学校があるキガリのニャミランボ地区は、高層ビルが立ち並ぶ街の隅で開発から取り残されたところだ。
ルワンダ子ども支援基金が2021年に集めたのは約17万円。21人の子どもに学費、制服、通学カバン、筆記用具、教科書を届けた。
同基金の援助を受けて学校に行けるようになった11歳の女の子は、6人きょうだいの5番目。「私の夢は医者になって困っている人を助けること。だから今、学校で勉強ができて嬉しい」と話しているという。
ネイチャーナースリー&プライマリースクールでは英語とフランス語で授業を行う。ちなみにルワンダの公用語は、ルワンダ語、スワヒリ語、フランス語、英語(2009年に公用語に追加。フランス語に代わって教授言語になった)だ。
2歳から通える未就園児クラスではまず、かつての教授言語で、またフランス語圏アフリカで広く話されるフランス語を学ぶ。「言葉を早く覚える時期に難しいフランス語を、その後に英語を教える。そうすれば1年生からの授業が楽になる」(小峯さん)
子どもを通わせる親の間でも「幼いころから国際語の英語とフランス語を教えてくれる」と好評だ。親のひとりは「子どもには将来、海外で困っている人を助ける人になってほしい。ルワンダも外国の人たちから助けてもらったから」と言う。
別の親は「ルワンダで仕事を探すには高い学力が必要。だから子どもには小学校の卒業(国家)試験に合格し、中学校に進み、将来きちんとした仕事に就いてほしい」と話す。
1994年のジェノサイド(集団殺害)でツチ系住民の虐殺を実行したフツ系の過激派民兵組織のメンバーも、安定した仕事に就けなかった人たちが多かったといわれる。教育格差が所得格差につながり、社会の分断を招く。小峯さんは「暴力を使った新たな対立を生み出さないためにも、子どもたちに学校へ行く機会を与えることは大切」と語る。