錠剤を粉にしてスプーンの上で加熱し、その蒸気を吸うクレイという方法。これでサナンさんはヤーバーを吸引していた。写真は、クラトムと大麻の混合の葉の煙を吸っているところ
タイで、大麻よりいち早く解禁された植物がある。クラトムだ。クラトムは疲労回復や痛み止め、薬物依存の治療薬として有効といわれる半面、その中毒性から違法とする国も多い。クラトムとは何なのか。その実態を探るため、タイ・チェンライでクラトム農園を営むスパット・シリさん(59)のもとを訪れた。
パウダーからコーヒー・ソーダまで
「これを食べてみろ」
こう言ってスパットさんは筆者にクラトムの葉っぱを手渡した。噛むと、にがい樹液が口いっぱいに広がる。耐えきれず、ペッと吐き出した。
「苦いだろ。苦ければ苦いほど良いクラトムなんだ」
スパットさんはこう笑う。
クラトムはコーヒー科に属する東南アジア原産の熱帯樹木。高さが40メートルになるものもある。利用するのはその葉っぱの部分。大きさは手のひらサイズだ。
スパットさんは2020年に、クラトムの苗を栽培し始めた。最初に作った10万本の苗はすぐに完売。いまも数万本のクラトムの苗を農園で育てる。
クラトムを使った商品の開発にも積極的だ。クラトムの葉を凍結・粉砕したパウダーをはじめ、クラトムの成分を入れたカプセル、クラトム入りのコーヒーもある。
「新商品だ」とスパットさんが出してくれたのはクラトムソーダ。ソーダの甘さとクラトムの苦さがマッチし、病みつきになる味だった。