ヒジャブデモ後のイランで「20人超に死刑執行の恐れ」、アムネスティが判決の破棄求める

「抗議活動に参加する女性の誰もが、アミニと同じ状況になりうるとの思いをもっている」と話すフェメナのアイーダ・サーダッさん

イランでヒジャブ(頭部を覆う布)をめぐる抗議デモが続き約4000人の市民が拘束された現状を受け、中東やアジアの女性の権利擁護を目的に活動する人権団体フェメナのアイーダ・サーダッさんは2022年12月20日、アムネスティ日本が主催したオンラインイベントに登壇した。このなかで「イランの司法当局は12月に、抗議デモに関連する2件の死刑を執行した。今も21人が絞首刑に処されかねない状況だ」と訴えた。

みせしめの公開処刑

今回処刑されたのは、23歳のイラン人男性2人だ。うち1人は手を後ろに縛られた状態でクレーンの先端からロープで吊るされ、公開で絞首刑に処された。抗議デモに参加した際、イランの最高指導者ハメネイ師が直接指揮する革命防衛隊の傘下にある民兵組織「バシジ」のメンバーを攻撃した罪などが「神への冒涜」とされたためだ。

1週間で2人も処刑されたことは、国内外に大きな衝撃を与えた。米国務省のプライス報道官は「イランの国民を怖気づかせ、反対派を抑圧するものだ。非人道的な扱いを最大限の言葉で非難する」とコメントした。

アイーダさんが懸念するのは、裁判が著しく不公平な手続きで進むことだ。被告人は自ら弁護士を選ぶ権利や、提出された証拠に対して反論する権利を奪われているという。

抗議デモに参加した市民に対する裁判は今後も続く。起訴された参加者は2022年10月末時点で約2000人。アイーダさんによると、保証金を払って釈放された人もいるが大部分の人たちは監禁状態のままだ。12月13日には、10年以上の禁固刑が400人以上に言い渡された。

事態は一刻を争う。12月20日までにすでに21人が死刑判決を受けたか、求刑されているからだ。うち1人は女性。アイーダさんは「みせしめのために3人目の犠牲者がすぐにでも現れるのではないか」と危惧する。

アムネスティ日本はイランの司法相に対し、死刑判決の破棄や、表現・結社・集会の自由の権利を行使して拘束されたすべての人たちの釈放、起訴する場合は国際基準に従った訴追手続きに従うことなどを求める署名活動を1月末まで実施している。

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