選手を指導するラシディ・アモロさん(左から3人目)。コーチとして所属するプロサッカーチームのリギンドゴは2022年、ケニアディビジョン2(4部リーグ)で優勝した(写真はアモロさん提供)
ケニアの首都ナイロビにあるアフリカ最大のスラム「キベラスラム」で、13歳以下の子どもたちのためのサッカーリーグを立ち上げた男性がいる。元プロサッカー選手で、現在はプロサッカークラブでコーチを務めるラシディ・アモロ(35歳)さんだ。「キベラの子どもたちにはサッカーで人生を切り開いていってほしい」と熱く語る。
スカウトの前でプレーする
アモロさんが開催するサッカーリーグの名前は「キベラA-GOALリーグ」。アフリカと日本をスポーツでつなぐ活動をする日本の一般社団法人A-GOALが資金をバックアップする。
リーグの目的は「スラムの子どもたちに夢を与える」ことだ。
サッカーはケニアで人気ナンバーワンのスポーツ。子どもたちも大好きだ。キベラの道端では、布を丸めたボールでサッカーを楽しむ子どもたちをよく見かける。
だがキベラスラムには、子どもたちが参加できるサッカーの試合はない。試合がなければ自分のプレーをアピールできない。結果、才能は埋もれてしまう。
キベラA-GOALリーグの試合は3カ月間、週末や学校が長期休みの日に開催される。その際にサッカーアカデミーや高校(日本の中学3年~高校3年に相当する生徒が通う)のコーチを招待。スカウトする場にしてもらう。
スカウトされれば、子どもたちは無料でサッカーアカデミーに入ることが可能だ。また奨学金を得て高校に進学し、サッカーを続けられる。プロサッカー選手になる道が開けるわけだ。
ケンさんは2022年10月、キベラスラムで初めてリーグ戦を開催した。600人以上の子どもが熱戦を繰り広げた。定期的に試合があるとあって子どもやクラブのコーチからも好評。子どもの親たちからは「次のリーグ戦はいつだ?」とよく聞かれるという。