ペルーの先住民がアマゾンの油田を占拠、40年以上続く水質汚染を訴え

アマゾン川の上流に位置するペルー北東部のロレート県で、先住民が油田を占拠した。40年以上続く石油による川の汚染に抗議することが目的だ。

水質汚染は、ケチュアやアチュアルなどの先住民に健康被害をもたらしている。飲み水や生活用水、農業用水として利用する川に、鉛やヒ素、水銀、カドミウムなどの有害物質を含む石油が流れ込んでくるからだ。抗議活動のリーダーで、アチュアル族のカルロス・サンディ氏は英ガーディアンに対して「食べ物や飲み水に含まれる鉛やカドミウムが原因で、我々の80%近くが病気になっている」と証言する。

先住民を支援する国際NGOカルチュラル・サバイバルの2月3日付発表によると、先住民が占拠したのは12~19カ所の油井。アルゼンチンの石油会社プラスペトロールが保有するもので、今回の事態により同社は、1日3000バレル(約47万7000リットル)以上の石油を損失していると推定される。

ペルー政府は、プラスペトロールとともに、先住民に対して抗議活動を止めるよう要請。一方で、ペルーアマゾン地帯開発インターエスニック協会(AIDESEP)は、ペルー政府とプラスペトロールが、先住民へ補償金を払い、環境を再生させるために1億ソル(約38億7000万円)の基金を設立すべきだと訴えている。

先住民が占拠する油井は、ペルー最大の油田であるLot192(旧Lot 1-AB)の一部。プラスペトロールのLot192での掘削権は2015年8月に失効する。しかしペルー政府は8月以降も同社に掘削権を与えることを約束。サンディ氏は「我々の要求が満たされない限り、掘削権は認めない」と強く抗議する。