コロンビアの貧困地区コムナ13の報道写真家「大好きなクチャスがいるから戻ってきた」

コムナ13出身のフォトジャーナリストで、YMCAコロンビア・メデジンでボランティア活動もするパブロ・アレイサさん(本人提供)

「大好きなクチャスがいるから、生まれ育った(コロンビア・メデジン有数の貧困地区の)コムナ13に戻ってきた」。こう語るのは、コムナ13出身のフォトジャーナリストのパブロ・アレイサさん(24歳)。同地区にあるYMCAコロンビア・メデジンで月~土曜日に、地元の青年たちと一緒に掃除などのボランティア活動をしている。 

「クチャス」とはメデジンの方言で「お母ちゃん」。広義では自分の母だけでなく、近所のおばちゃんも意味する。温かい雰囲気が残るコムナ13にアレイサさんは強い愛着を感じている。  

報道写真とボランティアの二刀流 

アレイサさんは主にコロンビア国内で活動する社会派のフォトジャーナリストだ。今後は海外への進出も検討しているという。「ウクライナでの仕事のオファーも国連からあったし、近い将来ベネズエラを訪れることも考えている」とアレイサさんは胸を張る。 

コロンビアでは、ホームレスの社会的地位の向上をテーマに彼らを追い続けている。なかには親しくなったホームレスの男性もいて、その彼がある日、アレイサさんに紹介したいと自分の親友をわざわざ連れてきたことがあった。「信頼されているな、と感じてとても嬉しかった」 

そうした多忙の日々でも月~土曜日のコムナ13でのボランティア活動は継続している。初めてかかわったのは2014年。一時中断があったものの、10年が経過した。コムナ13の中を流れる川の掃除だけでなく、青少年を対象とした各種プログラムや本職の専門知識を生かしてYMCAコロンビア・メデジンの活動報告の動画を制作することも担当している。「コミュニティのために役に立てているという高い満足感が得られている」とアレイサさんは語る。 

アレイサさんがボランティアをしようと思ったきっかけは、小学校時代にさかのぼる。コムナ13にある小学校に通っていたころ、学校の歴史を調べる宿題が出た。そのとき知ったのは、コムナ13の子どもたちが教育を受けられるように、と自分の家族がリーダーとなって地元の仲間と協力して無償で学校を建てたことだ。 

この事実に驚いた。と同時に感動して見習いたいと思ったアレイサさん。「建設から55年が過ぎたけれど、現在もコムナ13の子どもたちの学びの場として使われていることは本当にすごい」と誇らしげに語る。

2021年7月にコロンビアの首都ボゴタで起きたストライキ。パブロ・アレイサさんが撮った一枚 / NEA ASTETICA – Pablo Areiza

 

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