小さな村から都市に進出?! ベナンの国民酒ソダビの高級化を目指す男性がいた

ソダビを作るマティドゥさん(右から2人目)。丸い容器(「カラバス」と呼ばれるヒョウタンのような植物)を持って、アブラヤシの木から採取したばかりの樹液(パームワイン)を訪問した日本人に見せてくれた。ソダビの「生産に最適な時期」は乾季だという。理由は、雨に悩まされずに作業ができ、また暑さで樹液の流れが速くなるからだ。対照的に「販売に最適な時期」は雨季だという。気候が涼しいためアルコール消費量が増えるためだ

ベナン南西部のクッフォ県ドボ市ポゴドゥー村に、ベナンの国民的なお酒「ソダビ」を作る男性がいる。チェオレ・シリル・マティドゥさん(34)だ。彼は、アブラヤシの木に囲まれた小さな農村で暮らす。この一帯はソダビの名産地だ。「大衆向けに作っているソダビを、富裕層・観光客向けのソダビに変えたい」と語る。

ノー・ソダビ・ノー・ライフ

マティドゥさんは、自身でソダビ作りを始めて7年。父の仕事だったソダビ作りを引き継いだ。「僕はソダビが好き。毎日飲んでるよ」と笑う。

ソダビとは、アブラヤシの樹液から作る蒸留酒だ。安くて、ベナンではどこでも手に入る。アルコール度数は40度以上。ほのかに甘いかおりがする。見た目は無色透明だ。

ベナンスタイルは、ソダビをショットグラスに満杯入れて一気に飲み干すこと。来客があった時、仕事が一息ついた時、どんな時でもベナン人はソダビを飲む。まさに「国民酒」だ。

1カ月に最高34万円!

マティドゥさんは自宅と市場でソダビを売る。1リットルの値段は1000CFAフラン(約240円)だ。ソダビを買うために1日10人以上が彼の家を訪れるという。

市場ではビンやペットボトルではなく、25リットル入りのプラスチック製の四角い缶(ビドン)に入れて売る。価格は2万2000~2万3000CFAフラン(約5400〜5600円)だ。

最も売れる時で、市場には1カ月で約24人がソダビを買いに来るという。買い手は、マティドゥさんのソダビを自分の店に持ち帰り、小さな容器に入れ替えて売る。加えて、マティドゥさんは小売店への配達もしている。12店舗に多いときで月に2回配達する。

ソダビの1カ月の売り上げは最も良い時で133万6000~138万4000CFAフラン(約33万~34万円)だ。「ソダビが一番売れるのは雨季。気温が涼しいからアルコールの消費量が増えるんだ」とホクホク顔だ。

ただ年中、この金額を稼げるわけではない。

切り倒したアブラヤシの木から出てきたばかりの樹液(パームワイン)。2週間かけてゆっくり採取する。味はほのかに甘いが、さっぱりしている。

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