2015-07-13

OECD、国境なき税務調査官 途上国の税務調査をより効果的にすべくUNDPと共同で取り組む

OECD とUNDPが共同で新たなイニシアチブ( 「国境なき税務調査官Tax Inspectors Without Borders:TIWB)」プロジェクト)を始動させました。途上国の税務調査能力を強化させることで国内歳入が強化できるよう支援することが目的です。

本プロジェクトは、アディスアベバで開催されている第3回開発資金国際会議に参加しているビジネスや市民社会のステークホルダーのほか、OECD及び途上国政府から歓迎されました。これら参加者は、本イニシアチブにより、途上国はポスト2015持続可能な開発アジェンダを達成させるため最も必要とされる国内歳入を取り込むことができるとして支持しました。「国境なき税務調査官」は、世界中の途上国において、ターゲットを絞り税務調査の補助業務を促進していきます。税務調査専門家は、途上国税務当局の地元職員と肩を並べて作業することで、国際課税の案件も含めた税務調査能力を強化すべく支援します。

既にいくつかのパイロットプロジェクトや国際課税ワークショップが、例えばアルバニア、ガーナ、セネガル等で行われています。コロンビアでの事例を見ると、税収が大幅に増加したことがわかり、2011年に330万米ドルだったのが、税務調査のアドバイスとガイダンスのおかげで2014年には3320万米ドルにまで増加しました。

アンヘル・グリアOECD事務総長は、アディスアベバでの発表イベントにおいて、「途上国が直面している課題は国際的に認識されており、我々は専門家を世界中に派遣することで途上国の税収確保に貢献できることを嬉しく思う。OECDとUNDPの間に始まった新たなパートナーシップ「国境なき税務調査官」は、現在進められている税務調査強化の取組みを世界中に広めることになり、途上国に対する国際支援という力強いメッセージにもなる」と述べました。

ヘレン・クラークUNDP総裁は、「効果的な国内資源調達こそが持続可能な開発を財政的に支える中核である。しかし、国内資源を増加させるための取組みは、税逃れ・税回避、不正な資金の流れにより妨げられることがよくある。この「国境なき税務調査官」プログラムは、途上国が国内資源をより多く開発にまわせるように支援する革新的かつプラクティカルな方法である。UNDPは、各国に拠点があり地元の知見も備えているため、その取組みを強化拡大させるために、OECDそして最高の税務専門家とパートナーを組むに相応しい。国境なき税務調査官は途上国がポスト2015アジェンダを達成できるよう支援できる」と述べました。

まず、TIWB事務局が、税務調査支援の需要と適切な専門家をマッチングさせるクリアリングハウスとして機能します。この事務局は、OECD及びUNDP職員で構成されており、OECDパリ本部をベースとし、フルタイムあるいは断続的に専門家を派遣します。

TIWB Toolkitは、TIWBプログラムを構築し、潜在的な機密情報及び利害相違を保護するためのガイドラインを定めています。

国境なき税務調査官(TIWB)に関する詳細情報は、www.oecd.org/tax/taxinspectors.htm をご覧ください。

http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/oecd-and-undp-to-work-with-developing-countries-to-make-tax-audits-more-effective-japanese-version.htm