“キティ天国”フィリピン、コピー品が人気を後押し?

ぬいぐるみショップの店員ローランド・パロヒノさん。 キティを右手に持つ

ハローキティがフィリピンで大人気だ。キティについて調査したところ、性別や年齢、社会的地位にかかわらず、キティファンが多いことが浮き彫りとなった。セ ブはまさに“キティ天国”。「キティを知らないセブ市民はいない」とセブ在住の男性は断言する。コピー品が横行しているが、ある意味そうした状況がフィリ ピンでキティの認知度を高めるのに一役買っている。

アンケート調査では、セブ市の路上で2~68歳の115人を対象に、キティは「くまのプーさん」と比べて好きかどうかを尋ねた。59人がキティを、55人がプーさんをより好む結果となった。男女別に見ると、女性にはキティ(女31:男28)が、男性にはプーさん(男37:女19)が人気だった。男性の43%がキティ好きと答えた。50~60代のキティファンの男性もいた。

「キティが大好きで、キティの枕やぬいぐるみがお気に入り」と話すのは29歳のローランド・パロヒノさんだ。男性にもかかわらず、キティ好きのあまり、セブ市にあるアヤラセンターのぬいぐるみショップ「プロジェクト・ミー」に転職。販売員として働く。「この仕事は、いつもキティと一緒にいられて幸せだ」と照れながら語る。

ローランドさんによると、この店の一番人気はキティ。1日約15個(全体の約40%)のキティが売れるという。だがそのキティの顔は不自然で、明らかにコピー品だった。

キティファンの親子も少なくない。赤ん坊を抱えた女性(25)は「娘の1歳の誕生日に、キティのぬいぐるみをプレゼントするつもり。この間はキティのケーキと風船をあげた」とほほ笑む。その娘(11カ月)は、キティの柄がプリントされたズボンを履いていた。また38歳の男性は、キティ好きの6歳の息子に感化されキティファンになったという。

驚くのは、セブ市最大のごみ山イナヤワンの前のコミュニティーでキティグッズをいくつも発見したことだ。そこに住むカレンさん(23)は、きれいに畳まれたキティの子ども用前掛けをタンスから大切そうに取り出した。カレンさんの夫はトラック運転手で、1日に350ペソ(約880円)しか稼がない。同じコミュニティーには、汚れたキティのサンダルを履く少年もいた。

カレンさん(23)

カレンさん(23)

庶民が集うセブ市中心部にあるコロンのナイトマーケットでは、多くの露店にキティグッズが並んでいた。価格は、時計が100ペソ(約250円)、子ども服が15ペソ(約40円)。また屋台では、キティがデザインされたプラスチック製の皿で焼き魚や串焼きが出てくることもある。だがいずれもコピー品だ。

中流階級以上がショッピングをするアヤラセンターでは、トイザらスにキティのぬいぐるみコーナー、ザ・ダイソーにキティの絵が描かれた絆創膏や耳かきなどの日用品コーナーが広いスペースで設けられていた。

フィリピン観光省(DOT)も、キティ人気を利用して、2008年のキャンペーンのイメージキャラクターにキティを起用した。この観光キャンペーンは、DOTが旅行会社と組んで打ったもの。

アヤラセンターに隣接するウェスト・ゴロルド・ホテル・セブの従業員マイケル・アニェロさん(33)は「キティの人気は10年前に比べて確実に上がっている」とコメントする。経済成長さなかのセブにサンリオ・ピューロランドが誕生する日が来るかもしれない。

キティのサンダル

キティのサンダル

0919森さん、11カ月 ズボン[1]

0919森さん、ナイトマーケット時計[1]