フィリピン・セブ市の中心部から車で1時間、タリサイ市のカワヤナン村にインターネットカフェがある。利用料は5分1ペソ(約2.5円)と、5分単位だ。オーナーのエピファニア・バスメイアーさん(48)は、「ユーチューブやルタ(格闘技のゲーム)を利用する人が多い」と語る。
営業時間は朝8時から深夜0時。木箱にお金を入れて、インターネットを利用する。1台5000ペソ(=約1万2500円。本体3000ペソ=約7500円、ディスプレイ2000ペソ=約5000円)で購入したパソコンが5台設置されている。取材した時は店内に2人の利用客。1人の青年はヘッドフォンを着け、アクションゲームに夢中になっていた。日本のインターネットカフェのようにドリンクのサービスはない。
オーナーのエピファニアさんは1カ月に3000ペソ(約7500円)を稼ぐ。サラリー・イクスプロラーによると、フィリピンの平均月収は4万3301ペソ(約10万8250円)で、エピファニアさんの収入の約14倍だ。日本貿易振興機構(JETRO)によると、2014年4~6月の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.4%増。アジアでトップクラスの数字で、今後も堅調な伸びが期待できるという。経済発展は目覚ましいが、所得格差は大きい。エピファニアさんは「(収入に)満足していない」と、半ば諦めの表情で語った。
エピファニアさんは夫(63)と一緒に住んでいる。離れて暮らす息子の1人は、セブ市の隣に位置するマンダウエ市の建設会社で、もう1人は村の横の団地で働く。それぞれから1000~2000ペソ(約2500~5000円)、500ペソ(約1250円)の仕送りを週に一度受け取る。
セブ市内にあるインターネットカフェの利用料金は1時間10ペソ(約25円)。朝7時から深夜0時まで営業している。「インターネットカフェはフィリピンでとても人気。ゲームや勉強に利用する人が多い」(店員)。利用料金は、村のほうがセブ市内より高い。