ウガンダやマリ、マラウイなどのアフリカ諸国に「家族計画」の重要性が少しずつ浸透してきた。「男は、無制限に子どもをもつべき」との考えがアフリカの伝統的社会には根強かったが、近年は、この風潮が変わりつつあるという。11月26日付ガーディアンは「ウガンダの男たちは多くの子どもを望まない」と題した記事を掲載した。
2人の子どもをもつ、ウガンダ人のある男性(33歳)は「妻と話しあった結果、避妊薬(ピル)やコンドームを使うことにした」と話す。子どもたちの食費や教育費、医療費を考えると、子どもは2人で精一杯と考えたからだ。「母は『もっと子どもをもつべき』と言うが、これは自分の問題」と一蹴する。
アフリカの若い世代は、伝統的な父親像を支持しなくなりつつある。小さな家庭、言い換えれば「自分で何とか守りきれる家庭」を志向するようになってきている。
それを象徴する出来事がある。ウガンダでは以前、女性1人で産婦人科にやって来るケースが多かったが、最近は夫同伴も増えてきたという。マリも状況は同じで、いまや夫婦で産婦人科を訪れるのは珍しくない。とりわけマリは、一夫多妻が合法的に認められるイスラム教国だけに、これは大きな変化といえそうだ。
医療関係者によると、かつては家族計画についてアフリカの男性と対話することさえタブーだった。ところが最近は、経済的観点から家族計画の重要性を説くと、納得する男性も出てきた。「『もし10人の子どもがいたら、どうやって養うのか』と質問すると、一夫多妻のアフリカの男性たちは考えるようになった」と医療関係者は語っている。(今井ゆき)