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フィリピンの公文の1人あたり1教科の月会費の負担は、実質日本の約8倍だ。フィリピンでは、小学6年生以下の生徒1人1教科あたりの月会費は1800ペソ(約4600円)。中学1年生以上の場合は1950ペソ(約5000円)だ。一方、日本の公文では幼児6480円、中学生7560円、高校生8640円。
両国の1人あたりの国民総所得(GNI)を比べると、フィリピンの3440ドル(約41万円)に対し、日本は4万2000ドル(約504万円)。フィリピンの月会費は、フィリピンの1人あたりGNIの約82分の1にあたる。一方、日本は約630分の1だ。フィリピンの家族が1人の子どもを公文に行かせるための実質的な負担は、日本に比べて約8倍になる計算だ。
フィリピン・セブにあるバニラッド教室で採点係として働くラルニ・イニェゴさん(27歳)は「この教室の生徒のほとんどが私立の学校に通っているの」と話す。彼女の日当(8時間労働)は340ペソ(約870円)。10歳と6歳の2人の子どもを持つシングルマザーである彼女は「子どもを公文に行かせることはできない。だから私が2人の勉強を手伝っているの」と言う。彼女の将来の夢は、子どもを大学に行かせること。彼女自身は高校までしか卒業していない。「私は、公文で働くようになってから英語が話せるようになり、数学も少しわかるようになった」と話す。
日本では比較的リーズナブルで通いやすいというイメージのある公文だが、フィリピンでは、一般家庭の子どもが公文で勉強することは厳しい。その結果、公文に通う生徒の多くは上流階級の子どもだ。
また、日本では主に算数(数学)、英語、国語が学べるが、フィリピンでは数学と英語リーディングの2教科だけ。バニラッド教室では約400人の生徒が学んでいる。教室の中には「時間を守る」「姿勢よく勉強する」「素晴らしいのは一番になることではなく、全力を尽くすことだ」というような日本的な教訓が貼られている。
公文は現在48の国と地域に、日本国内約1万6400教室、海外約8400教室展開している。フィリピン・セブに13教室、フィリピン全土では約300教室もある。月会費をもう少し安くし、より多くのフィリピンの一般家庭の子どもが通うことができるようになれば、算数が苦手といわれているフィリピン人の計算能力向上に一役買いそうだ。