船員から15万円で英語学校のオーナーに転身したヤンゴンの起業家、 「ミャンマー人の自己成長を助けたい」

ジン・ゼイ氏。ブルース・リーの写真を背景に 「彼は勤勉で、生涯1つの事に妥協せず集中して功を成し遂げた。尊敬しています」

船員から一転、ミャンマー・ヤンゴンで英語学校「アクティブ・イングリッシュ」のオーナーに。2013年にオープンしたアクティブ・イングリッシュについて青年社会起業家のジン・ゼイ氏(28)は「ミャンマー人の英語のコミュニケーション能力を向上させ、より高い生活水準と自己成長を達成するための学校だ」と語る。

船員として海上で働いていた1年半、「なぜ家族と離れて仕事をしなければいけないのか」という問いが彼の頭を離れなかった。「自分が本当に人生でやりたいのは、お金をただ稼ぐことではない」と気づき、起業を決意した。しかし、資金繰りという大きな壁にぶち当たった。ブリティッシュ・カウンシルが2013年に出した報告書「ミャンマーの社会的起業ランドスケープ」も、ミャンマーでは社会起業家のニーズに応えるための金融基盤ができていない、と指摘する。

起業のために陸に上がったばかりの彼には自己資金も、大卒の学歴も、資格も、またコネもなかった。1500ドル(約15万円)ばかりの初期投資で、ヤンゴン市街地にある小さなアパートの一角でアクティブ・イングリッシュを開いた。

2年後、生徒数は300人に増えた。1、2階全部が使える現在のビルに引っ越したのは15年6月だ。セーダン試験(全国統一高校修了・大学入学許可試験)を受けた学生や20~30代の社会人たちが通う。

生徒は異口同音に、この学校を選んだ理由について「英語の実践的なコミュニケーション能力を、安い料金(2~3カ月で4万5000チャット=約4500円)で、しかも柔軟な授業時間の設定で得ることができるからだ」と答えた。

生徒の一人、建設会社に5年勤める建築技師ユルゥインさん(28才・女性)は中級全コースを修了したら(17年)、ビジネスで使える英語力を示す修了証を携えて、シンガポールで建築会社に就職する計画を語った。「その修了証で、外資系企業に就職すると、現在の月収30万チャット(約3万円)は50万チャット(約5万円)に昇給、より高い水準の生活が手に入る。将来は建築の専門家になりたい」と目を輝かせた。