ラオス南部の街パクセーが急速にグローバル化している。インターナショナルスクールが2015年9月に開校し、2016年に誕生した3階建てのショッピングモールの中には近日中に映画館もオープンする。人口8万7000人の小さなラオス第2の都市が変貌を遂げつつある。
インターナショナルスクールの名前は「イースタンスター・インターナショナルスクール・パクセー」。教鞭をとる教師の国籍は多彩だ。トルコ人の校長を筆頭に、ラオス人、ニュージーランド人、フィリピン人、インド人などがいる。小学校は1クラスの児童は最大15人で、1学年は1クラスのみ。授業料は1カ月4万円程度で、裕福なラオス人なら手が届く。児童は中国系・ベトナム系のラオス人が多い。
この学校に通う日本人児童もいる。小学2年生の飛田紗來ちゃんだ。2016年3月に家族の転勤でパクセーに引っ越してきて、編入した。小学2年生は全員で8人しかおらず、紗來ちゃんを除く7人はラオス人だ。
授業は朝8時半から夕方の4時まで。毎日6時間目まである。通常の授業では6時間のうち2時間、サマースクールでは4時間が英語の授業だ。また、理科の授業も英語でする。紗來ちゃんはまだ英語もラオス語も十分には理解できない。「でも学校は楽しい」と言う。
一番好きな授業は、毎週金曜日の午後にある「映画の時間」だ。動物のアニメを英語で鑑賞する。紗來ちゃんが困っているのは、友だちの私語がうるさくて、映画の音が聞こえないこと。「怒られるのに慣れていないラオス人は、大人も子どもをあまり怒らない」と紗來ちゃんの母親である飛田紫峰さんは言う。
ユニークなのは、児童の家族も参加した終業式で校長が話している最中に、児童が5~6人集まってゲームをしたり、歩き回ったりしても、教師も親も注意しないこと。紗來ちゃんによると、児童への接し方は、教師の国籍で異なるようで、「ラオス人の先生は私語を放っておくけれど、フィリピン人やインド人の先生は注意する」。
パクセーのグローバル化は、インターナショナルスクールの誕生だけではない。ショッピングモールでも起きている。国際協力機構(JICA)の専門家によると、4年前にはヨーグルトはパクセーで手に入らず、隣国のタイに買い出しに行っていた。だが今はパクセーのモールやスーパーでも購入できる。
8月にはモールの中に映画館がオープンする。ラオスには現在、首都ビエンチャンにしか映画館がない。パクセー在住で、JICAラオス事務所で働く24歳のラオス人女性は「映画館ができたら名探偵コナンを観たい」と待ちきれない様子だ。