ナイロビがTICAD VIで染まる! ケニア人ら「知っているけど‥‥何を話しあうの?」

TICAD VIが開催されるケニヤッタ国際会議場(KICC)付近の建物。TICAD VIのロゴが大きく入ったポスターが目を引く

日本政府が主導し、国連やアフリカ連合(AU)などと共同でアフリカの発展について話し合う国際会議「第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)」が27日から2日間、アフリカで初めて開かれる。開催国のケニアの首都ナイロビでは市内の至るところにTICAD VIのポスターが貼られ、盛り上がりを見せる。その半面、「TICADの存在は知っているが、何を話し合うのかは知らない」というナイロビ在住のケニア人も少なくない。

ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港に降り立ってまず目につくのが、TICAD VIのロゴとともに「ようこそ」と日本語で書かれた大きなポスターだ。空港の床にもTICADのロゴが入った足跡マークが貼られるほどの徹底ぶり。空港から市内に向かう道路沿いにもポスターがたくさんある。

ポスターの影響力は大きい。タクシードライバーやホテル経営者など、ナイロビ在住のケニア人男女10人に「TICADを知っているか」と尋ねたところ、「知っている」と答えたのは9人に上った。そのほとんどはテレビの報道や道路脇のポスターを見て知ったという。ケニアの環境NGOで働くナイロビ在住の男性は「この1カ月でTICAD関連のポスターが一気に増えた」と話す。

一方で、「TICADは何を話し合う会議か知っているか」との質問に「知っている」と答えたのはわずか2人。この理由について環境NGOの男性は「テレビは会議の内容まで伝えていない。新聞にもほとんど記事はなく、一般のケニア人は興味を持っていないのでは」と説明する。

実際、ケニアの2大紙である「デイリー・ネーション」と「ザ・スタンダード」の8月24日付の紙面には、TICADの記事は全くない。デイリー・ネーションは25日付でTICADの特集を組んだが、一面はケニア国内の政治記事で埋め尽くされている。

上の2つの質問に「どちらも知っている」と答えた30代の女性は「ケニアでは中国の存在感が圧倒的に強い。TICAD VIの開催を機に、日本にはもっとケニアで存在感を示してほしい」と訴える。

中国は2015 年12月、「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」と題した国際会議を南アフリカのヨハネスブルクで開催。出席した習近平国家主席は、向こう3年でインフラ整備や貧困削減など10分野で600億ドル(当時のレートで約7兆3900億円)を供与する計画を発表した。ケニアでは、ナイロビと港湾都市モンバサをつなぐ鉄道敷設プロジェクトで存在感を示す。日本政府にとってTICAD VIは中国の援助に対抗する狙いがあるとみられる。

TICADは1993年に東京で始まって以来、5年ごとに日本で開催されてきた。前回のTICAD Vで、今後は3年ごとにアフリカと日本で相互に開くことが決まった。今回はアフリカでの初開催。TICAD VIには安倍晋三首相夫妻やケニアのケニヤッタ大統領夫妻を含む1万人の要人が世界中から参加する予定だ。

ナイロビのTICAD VI本会議場。本会議には安倍首相も出席する予定

ナイロビのTICAD VI本会議場。本会議には安倍首相も出席する予定